配信・VTuberでZ世代にアプローチ!企業におすすめのプロモ戦略とは?

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VTuberマーケティングが注目される理由
SNS広告やインフルエンサー施策が飽和し、若年層へのアプローチが難しくなってきた昨今。
企業がいま注目しているのが、VTuber(バーチャルYouTuber)や配信者を起用したプロモーションです。
特にZ世代を中心に根付く“推し活”文化と親和性が高く、VTuber施策は自然な共感を生み出しやすいという強みを持ちます。
本記事では、VTuberプロモーションの基本から活用メリット、具体的な施策パターン、活用事例、導入ステップ、よくある疑問までを幅広く解説します。
「VTuberって実際どうなの?」「自社と相性ある?」と感じている方にとって、ヒントになれば幸いです。
VTuber・ライブ配信市場の拡大
国内外で加速する市場成長
VTuber・ライブ配信市場は急速に成長を続けています。
- 国内ライブ配信市場は2023年に5,000億円を突破
- VTuberファンの数は日本国内だけで1,500万人以上
- YouTubeだけでなく、Twitch・TikTok・REALITYなど配信プラットフォームも多様化
かつてはニッチと見られていたVTuber領域も、今やマーケティングの有力チャネルのひとつとして注目されています。
さらに注目すべきは、VTuberだけでなく、ゲーム配信を含むライブ配信市場全体がグローバル規模で拡大しているという点です。
国内においては、2023年の5,345億円から2030年には2.5兆円に達すると予測されており、7年で約5倍に成長する見込みです。大企業や行政からも注目が集まっていることからも、この市場の重要性が伺えます。

世界のVTuber市場は2022年の6,672億円から2029年には約4.1兆円に、ゲーム配信市場も2024年の1.1兆円から2029年には1.9兆円へと成長すると予測されており、その勢いは止まりません。

コロナ禍以降、VTuber業界の成長と共にライブ配信の視聴時間は増加し続け、2024年には6億時間に到達しています。これは、マーケティング視点から決して無視できない規模の「可処分時間」が費やされていることを意味します。

このように、VTuberを含むライブ配信文化は、単なるエンターテイメントの枠を超え、消費者の膨大な時間と熱量を引きつける巨大な市場へと変貌しています。この広がりは、企業がターゲット層にリーチし、深いエンゲージメントを築くための新たな、そして非常に効果的なプロモーションの場を提供しています。
なぜVTuberプロモーションがZ世代に刺さるのか?
1. デジタルネイティブとの親和性
Z世代は、生まれたときから動画や配信が身近にある世代。バーチャルキャラクターへの抵抗が少なく、VTuberを自然な存在として受け入れています。
実在するインフルエンサー以上に“親しみ”を感じるファンも多く、コメントやスパチャを通じて双方向の関係を築いています。
2. 推し活文化との親和性
VTuberプロモーションは、「推しが紹介していたから買った」という行動につながりやすい特徴があります。ファンは「推し活」の一環として、商品の購入やSNSでのシェアを積極的に行います。
これは広告では得られない“熱量”であり、自然なUGC(ユーザー生成コンテンツ)として拡散されやすくなります。
3. 信頼とエンゲージメントの高さ
Z世代にとってVTuberは単なるコンテンツ提供者ではなく、「一緒に時間を過ごしている存在」です。
このような関係性があるからこそ、VTuberが紹介する商品やサービスに対する信頼度が高くなり、ブランドに対するエンゲージメントも深まります。
VTuberプロモーションの主な活用パターン
よくある施策例と目的
活用方法 | 主な目的 | 実施内容の一例 |
---|---|---|
VTuber起用のライブ配信 | 商品紹介・使用感の訴求 | 商品レビュー、生配信での開封や試用 |
オリジナル配信素材の提供 | ファンによるUGC創出 | ロゴ入りの配信画面やコメント枠の配布 |
SNSキャンペーン連動 | 拡散力と参加率の向上 | 抽選付き等の投稿企画 |
オリジナルVTuberの制作 | ブランドの継続的発信 | VTuberを“デジタル広報”として育成 |
企業の目的やプロモーション対象によって、最適な施策は異なります。
大切なのは、“VTuberらしさ”を活かしつつ、ブランドの価値を自然に伝えることです。
実際に活用している企業事例
食品・飲料業界
「食べてみた」や「飲んでみた」といったVTuberによる自然なレビュー形式は、視聴者に親近感を与えやすい手法です。生活に身近な商品であるため、SNS上では「VTuberがおすすめしていたから買ってみた!」といった共感が生まれやすい傾向にあります。
事例:
- 日清食品株式会社: VTuberが人気商品「カレーメシ」のCMに出演し、ユニークな世界観で商品をアピールしました。
出典元:当社制作の動画「夏はカレーメシ カレーメシ×ホロライブ コラボ動画」がYouTube Creator Collaboration 部門賞受賞のお知らせ - サントリーホールディングス株式会社: 自社のVTuber「燦鳥ノム(さんとり のむ)」を制作し、YouTubeチャンネルで自社商品のレビューや様々な企画を実施しています。これにより、特定の視聴者層に深くリーチし、ブランドへの親近感を醸成しています。チャンネル登録者数は24万人を超えています。(2025年8月時点)
ゲーム・ガジェット分野
VTuberはもともとゲーム実況を得意とする人が多いため、ゲームやガジェットとの相性は抜群です。新作ゲームのプレイ実況や周辺機器のレビューは、視聴者の購買意欲を効果的に刺激します。VTuber自身が「ゲーマー」や「ガジェット好き」であることを公言している場合、ファンからの信頼も厚く、レビューの説得力が増します。
事例:
- 株式会社セガ: VTuberのkson総長さんとコラボレーションし、人気ゲーム『龍が如く8』のプロモーションを実施しました。プレイ動画を公開することで、進化したバトルシステムや白熱のスジモンバトルを視聴者にアピールし、新作発表を盛り上げました。
出典元:VTuber・kson総長さんによる『龍が如く8』プレイ動画公開! 進化したバトルや白熱のスジモンバトルを体験 - ドスパラ: 人気VTuberの渋谷ハルさんや、VTuberグループのぶいすぽっ!とコラボレーションしたPCを多数展開しています。各VTuberのイメージに合わせたデザインや、配信活動に最適なスペックのモデルを販売することで、ファンに特別な体験価値を提供し、ガジェットへの関心を高めました。
出典元:GALLERIA 渋谷ハル COLLABORATION MODEL|ドスパラ公式通販サイト
教育・公共・不動産分野
自治体や地方自治体は、VTuberを「観光大使」として起用することで、若年層や特定のファンコミュニティに地域の魅力を効果的に発信できます。VTuberが観光スポットを巡る企画や特産品を紹介することで、共感を呼び、実際の訪問や購入につながるケースが増えています。
一見VTuberと接点がなさそうに思える分野でも、ユニークな活用事例が増えています。「届けたい相手に合った文脈」をうまく作り出すことが成功の鍵となります。例えば、若年層に情報を届けたい自治体の観光プロモーションや、配信者向けの防音マンションの紹介など、ターゲットに合わせたアプローチが可能です。
事例:
- 茨城県: 茨城県公認VTuber「茨ひより」を起用し、県の魅力を発信する動画をYouTubeチャンネル「いばキラTV」で多数公開しています。県内の観光スポットを巡る企画や、納豆や干し芋などの特産品を紹介する動画を通じて、幅広い層に親しみやすい形で情報を届けています。
- JR東日本: VTuberグループ「にじさんじ」とコラボレーションした「推し活トラベル」キャンペーンを実施。VTuberが新幹線の旅をナビゲートしたり、旅の思い出を発信したりすることで、ファンは「推しと同じ新幹線に乗って旅をしたい」という気持ちをかきたてられました。単なる広告ではなく、ファンが旅を楽しむ「きっかけ」を提供することで、交通機関とVTuberの親和性の高さを示しました。
出典元:推し活トラベル JR東日本×にじさんじコラボキャンペーン~行っちゃいますか!新潟旅!~を開催します! - 三井不動産: 三井不動産商業マネジメントが運営する「ダイバーシティ東京 プラザ」は、VTuberグループ「にじさんじ」の人気ユニット「VΔLZ(ヴァルツ)」とコラボレーション企画を開。館内がVΔLZの世界観で装飾され、特別な館内放送やオリジナルグッズがもらえるキャンペーンなどを実施。ファンが「推し活」を楽しめる場を提供することで、VTuberの持つ強力な集客力と、商業施設の新たな顧客層獲得を両立させました。
出典元:にじさんじ所属人気VTuberユニット「VΔLZ」が商業施設との初コラボレーション!「ダイバーシティ東京 プラザ×VΔLZ」開催決定
VTuber施策を成功に導くポイント
ターゲットに合うVTuberの選定
フォロワー数や知名度だけでなく、「どんなファンがいるか」が重要です。ブランドの世界観や商品ジャンルと相性が良いVTuberを起用することで、施策の成果は大きく変わります。
演出と構成の柔軟さ
企業からのメッセージをそのまま伝えるよりも、VTuberの言葉やスタイルで伝えるほうが視聴者に刺さります。自然体で伝えてもらうことで、“広告っぽさ”を感じさせず、受け入れられやすくなります。
中長期的な取り組みとして設計する
単発の施策で終わらせず、継続的な発信やコラボレーションを行うことで、ブランドとの結びつきが強化されます。「推しとのつながりがブランドとの接点になる」という構造を意識することが大切です。
よくある疑問(Q&A)
VTuber施策に関するよくある質問とその回答を以下にまとめました。
VTuber施策の費用はどれくらいかかりますか?
VTuberの規模や施策の内容によって費用は大きく異なります。たとえば、個人で活動しているVTuberを起用したライブ配信であれば、数万円から数十万円程度が目安です。中堅以上の個人VTuberは100万円以上、大手事務所に所属しているTOP層になると数百万以上、企画によっては1000万以上になることもあります。
VTuber施策の効果測定はどのように行いますか?
施策の効果測定は、定量的・定性的な側面から評価するのが一般的です。定量的な指標としては、SNS上でのエンゲージメント数、インプレッション数を追います。また、Webに特設ページ等を作ってキャンペーンを行う場合は、通常時とのクリック率の差などを確認します。定性的な指標としては、配信中のコメントの内容や、関連キーワードの検索数の増加などを分析します。
VTuberとのつながり方は?
個人で活動しているVTuberには、SNSのダイレクトメッセージやメールで直接連絡を取るケースもあります。一方、事務所に所属しているVTuberには、所属事務所を通じて問い合わせるのが一般的です。また、大手事務所に所属するVTuberや、複数の施策を継続的に行いたい場合は、VTuber専門のエージェンシーや支援サービスを利用するとスムーズです。これらのサービスが仲介役となり、効果的な企画の立案から実施までをサポートしてくれます。
VTuberプロモを進めるときの導入ステップ
VTuberを起用したプロモーションを成功させるには、事前準備と戦略的な進め方が欠かせません。ここでは、取り組みを始める際に押さえておくべき基本ステップをご紹介します。
- 目的を明確にする
まず「なぜVTuberを活用するのか」を決めることで、施策全体の方向性がぶれなくなります。
例:若年層への認知拡大、SNSでの話題化、購買促進など - 想定するターゲットを設定
ターゲット像を細かく設定することで、配信内容やキャラクター選定の精度が高まります。
例:Z世代中心、アニメ・ゲーム好き、配信視聴習慣がある層など - VTuberや配信文化の理解を深める
視聴者が求めるコンテンツや関わり方を知ることで、自然に受け入れられる施策が作れます。成功事例や失敗例から学ぶことで、適切な施策設計が可能になります。 - パートナー企業へ相談する
外部の知見を取り入れることで、初めてのVTuber施策でもスムーズに進行できます。 キャスティング、制作、進行管理まで一貫して対応してくれる支援会社も存在します。
なお、直接VTuberや事務所にコンタクトを取る場合、クライアント側の狙いや訴求ポイントが整理されていないと「ファンに見られるだけのコンテンツ」で終わってしまうことも少なくありません。
その点、支援(企画制作)会社を通すことで「商材をどうリスナーに届けるか」という設計を明確にでき、施策全体の目的と手段をぶれなく整えることができます。初めての企業にとっては、まず企画の立て方を一緒に探るところから始めるのがおすすめです。
VTuberプロモ支援サービスの活用も選択肢に
初めてのVTuber施策では、「誰を起用すればいい?」「企画はどこまで任せられる?」といった悩みが出てきます。
このような場合、VTuberや配信領域に特化した支援会社と連携するのが有効です。一例として、「Alive Project byGMOペパボ」が提供している企業向けプロモーションを利用することで、企業とファンの距離を縮める、効果的なプロモーションを実現できます。

具体的な支援内容は以下の通りです。
- 目的に応じたキャスティング: 目的や予算に最適なVTuberを選定します。
- VTuberの魅力を活かした企画: VTuberの個性を最大限に引き出す配信企画や演出を提案します。
- 制作サポート: 配信進行管理から、配信で使用するクリエイティブの制作までをサポートします。
特に、個人で活動しているVTuberやVライバーが小規模な案件を受けることは少なく、企業との直接契約には慎重になる方が多い傾向にあります。エージェンシーや支援サービスを通すことで、こうした双方の不安や警戒心を和らげ、円滑なコラボレーションにつなげることができます。
まとめ:Z世代とつながる新たな選択肢として
VTuberマーケティングには多様な可能性が広がっています。 今の若年層には、従来型の広告は届きにくくなっていますが、VTuberや配信者を通じた自然な語りかけや共感ベースのコミュニケーションは、彼らに響きやすい手法のひとつです。
VTuberの活用を「面白そうだからやってみる」で終わらせず、ブランドに合った文脈と接点を設計することが成果につながります。まずは、配信文化やVTuber市場についてリサーチすることから始めてみませんか?