Elgato | WAVE NEXT 〜配信者の「つくる体験」を変える、Elgatoの新しいビジョン〜
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「ハードからソフトへ」という転換
ゲーム配信者やVTuberとして活動する配信者にとって、「いい音で届ける」「見栄えのいい画面を作る」ことは、視聴者との関係を深める上で非常に重要な要素です。しかし現実には、マイクやカメラを買っただけでは満足のいく配信環境にはなりません。設定の難しさ、複数のソフトウェアをまたぐ作業、機材同士の相性問題──こうした「機材を買った後の壁」に悩む配信者は少なくないはずです。
ElgatoはこのWAVE NEXTイベントを通じて、そうした課題へのひとつの答えを提示しました。それは「ハードウェアを起点にしながら、ソフトウェアで配信者の体験を完結させる」というコンセプトです。機材の性能を引き出すだけでなく、使う人が「もっと配信したい」と感じるような体験設計──これが今回のイベントの核心でした。
本レポートでは、WAVE NEXTイベントの概要と、Elgatoが打ち出したビジョンの意味を、配信初心者にも伝わるよう丁寧に紹介します。別途実機でのレビュー記事がありますので、ここではコンセプトと方向性の理解に焦点を当てます。
機材レビュー:配信の音作りを「簡単に」。Wave XLR MK.2/XLR Dock MK.2/Stream Deck + XL
Elgatoの新たなビジョンが打ち出されたイベントのレポートです!
インフルエンサーさんもたくさん来ていて華やかだったよね!
一緒に写真撮りたかったデス・・・
趣旨変わってる!
WAVE NEXTとは何か

イベントの概要
WAVE NEXTは、Elgato(エルガト)が開催した配信者向けのプロダクト発表イベントのこと。Elgatoは1999年にドイツで創業し、2018年にCorsairグループに加わった配信機材メーカーです。USBマイクやキャプチャデバイスなどで、世界中のコンテンツクリエイターから支持を集めています。
同社はUSBマイクの「WAVE」シリーズを中心に、物理コントローラ「Stream Deck」やキャプチャデバイスなど、配信に関わる幅広い製品を手がけてきました。WAVE NEXTはその名の通り「次の一手」を示すイベントであり、単なる新製品発表に留まらず、Elgatoが描く「配信の未来像」を提示する場でもありました。
| POINT 「WAVE NEXT」の「NEXT」は、新しいハードウェアを指すだけでなく、配信者の体験そのものを「次のステージへ」進めるという意味が込められています。 |
なぜ今、このイベントが開催されたのか
ゲーム配信やVTuber文化の急速な成長に伴い、配信者の数は世界規模で増加し続けています。以前は「プロの配信者がいい機材を使う」というイメージが強かったものが、今では「趣味でやるにも、ある程度の品質が求められる」時代になっています。
その一方で、配信環境のセットアップは依然として複雑で、初心者にはハードルが高い。マイクを購入しても、ノイズ除去をどこで設定するのか、ゲインはどこで調整するのか、OBSとの連携はどうすればいいのか──こうした問いに答えを出せず、挫折する配信者も多いのが実情です。
Elgatoはこの「買ってからの壁」こそが、配信者体験の最大の課題と見据えており、WAVE NEXTはその解決策を正面から打ち出したイベントとなりました。
ハードからソフトを中心に据えるとはどういうことか

従来型の「機材中心」アプローチの限界
これまでの配信機材市場では、「より高音質なマイクを開発する」「より高性能なカメラを提供する」といったハードウェアのスペック競争が主流でした。しかしユーザー側の実感としては、スペックがいくら高くても「使いこなせなければ意味がない」という声が根強くあります。
特にマイクは、設置場所や部屋の環境によって音質が大きく変わります。せっかくいいマイクを買っても、エアコンの音が入ってしまったり、反響が気になったりすることは珍しくありません。そのたびに設定アプリを開き、複雑なイコライザーや圧縮設定と格闘するのは、多くのユーザーにとって大きな負担です。
Elgatoが提唱する「ソフト中心」のエコシステム
WAVE NEXTでElgatoが打ち出したのは、マイクやインターフェースといったハードウェアの性能を、ソフトウェアを介して誰でも引き出せる仕組みを整えることです。これにより、配信者は音声設定に悩む時間を減らし、コンテンツ制作に集中しやすくなります。
具体的には、WAVE LinkというソフトウェアがWAVEシリーズのマイクと深く連携し、複数の音声ソースをリアルタイムでミキシングしたり、ノイズキャンセルや音質補正を直感的な操作で行えるようにしています。このソフトウェアは単なる付属品ではなく、ハードウェアの「頭脳」として設計されており、機材の能力を最大限に引き出す役割を担っています。
| 配信者目線で言うと… たとえばゲームの効果音、自分の声、BGM、チャットの読み上げ音声をそれぞれ別トラックで管理できると、配信後に編集する際も格段に楽になります。WAVE Linkはこれを、複雑な設定なしに実現しようとするものです。 |
AIと自動化の活用
WAVE NEXTのもうひとつの柱となるのが、AIを活用した自動最適化です。たとえば、マイクのゲインやノイズゲートの設定は、部屋の音響特性をAIが分析して推奨値を自動提示してくれます。これまで「ゲインって何?」「ノイズゲートの閾値はどう決めればいい?」という初心者が最初につまずく疑問に対して、技術的な知識がなくても「いい音」に近づけるよう、ソフトウェアがサポートするわけです。
これはElgatoにとって大きな方向転換でもあります。これまでは「上級者向けの細かい設定ができる機材」という印象もありましたが、AIによる自動化を通じて「誰でも使える、だけどプロも満足できる」という両立を目指しています。
配信者が得られる具体的なメリット

1. セットアップの手間が大幅に減る
機材を接続して電源を入れるだけで、基本的な音声設定が自動で整います。これまでOBSや別のオーディオソフトで手作業で行っていた設定の多くが、WAVE Linkのインターフェースに集約されます。VTuberとして活動している方など、配信前の準備に時間をかけたくない人には特に大きなメリットです。
2. 音質が「自然に」向上する

ノイズキャンセルや音声補正をONにするだけで、部屋の反響音やパソコンのファンノイズを大幅に軽減できます。高価なスタジオ環境を用意しなくても、リスナーに届く音質を底上げできるのは、自宅配信者にとって大きな恩恵です。
3. ゲーム音・声・BGMの管理が一元化される
WAVE Linkを使うと、ゲームの音、自分の声、BGM、通知音などを個別のチャンネルとして管理できます。「ゲームの音が大きすぎて声が聞こえない」「BGMの音量バランスがわからない」といった悩みを、一画面で直感的に解決できます。
4. Stream Deckとの連携で「配信中の操作」が楽になる
ElgatoのStream Deckは物理ボタンを押すだけでさまざまな操作を自動化できるデバイスです。WAVE NEXTのエコシステムでは、このStream DeckからWAVE Linkの設定を呼び出したり、シーン切り替えや音量調整をワンタッチで行ったりすることが想定されています。配信中に「マイクをミュートしたい」「音量を下げたい」という場面で、画面から目を離さずに操作できるのは大きな利点です。
| Stream Deckとは? 配信でよく使う操作(シーン切り替え、ミュート、BGM再生など)をワンタッチで実行できる物理コントローラです。画面から目を離さずに操作できるため、配信をスムーズに進行させたい方に重宝されています。 |
Elgatoが描く配信者体験の未来

「機材を意識しない配信」を目指して
WAVE NEXTのメッセージを一言で表すとすれば、「機材を意識しない配信を実現する」ということに尽きます。いい音が出ていることを確認しながら、複雑な設定に時間を取られることなく、コンテンツ作りそのものに没入できる──そんな状態をソフトウェアが実現する、というのがElgatoのビジョンです。
これはゲーム配信者にとっても、VTuberにとっても、Podcastを始めたい人にとっても、共通のニーズです。「いい機材を持っているのに使いこなせていない」という状況から、「持っているだけで自然に最適化される」という状況へ──Elgatoはその橋渡し役となろうとしています。
コミュニティとの共創

WAVE NEXTイベントではまた、Elgatoがコミュニティからのフィードバックを重視している姿勢も印象的でした。配信者のリアルな声を元に機能が設計されており、「プロが使う機材を、全員が使えるように」という思想が製品開発の根底にあることが伝わってきました。
新規の配信者にとっては、「機材を買えばElgatoのエコシステムに入れる」という安心感が、今後の製品選びの指針になりうるでしょう。一方で既存のユーザーにとっては、持っている機材がソフトウェアの進化によってより便利になるという恩恵もあります。
おわりに
WAVE NEXTは、新しい機材を発表するだけのイベントではありませんでした。それは「配信者のあり方」そのものに対するElgatoからの提案です。
配信をはじめたばかりの方も、長年続けているベテランの方も、「もっと楽に、もっといい配信ができる」という感覚を持てる環境をソフトウェアが支えていく──このコンセプトは、今後のElgato製品のあり方を示す重要な転換点として記憶されるでしょう。
実機を使ったマイクやその他の製品のレビューは別途お届けします。そちらでは実際の音質や使い勝手、セットアップの流れを詳しくお伝えする予定ですので、ぜひあわせてご覧ください。
本記事はWAVE NEXTイベントの取材をもとに作成した編集部レポートです。
写真:住友 順
