ライブ配信初心者向け究極のShureマイクガイド:MV6、MV7+、MV7iの選び方

ライブ配信を始めようとすると、カメラや照明、配信内容の準備は終わったのに、「音声環境をどう整えればいいのか」で悩む人が少なくありません。特にマイク選びは、種類も多くて難しいですよね。

そこでこの記事では、配信初心者に人気のShure社のマイク3機種を比較します。Shureといえば、プロユースのマイクを作っている会社です。品質に定評があるので、初心者でも安心して使えるでしょう。

この記事を読めば、MV6、MV7+、MV7iのどれが自分に合っているか分かるようになります。

編集部員 すだち
編集部員 すだち

プロが使ってるマイクって複雑そう…

Shureは確かにプロに愛されるブランドですが、初心者にも優しいモデルがあるんですよ

機材に詳しいウマヅラ
機材に詳しいウマヅラ
想 ふうか
想 ふうか

その“ちょうどいい一本”を探すのが、今回のミッションってわけだね!

“いい音”を目指すなら、まずはこの3本から

編集部員 すだち
編集部員 すだち

見た目ばっかり気にしてたけど、音ってそんなに大事なの?

大事どころじゃないです。音が悪いと、視聴者は3秒で離脱しますよ

機材に詳しいウマヅラ
機材に詳しいウマヅラ
想 ふうか
想 ふうか

えっ、3秒?!そんなに音って大事なんだね…!
すだち君、見た目ばっかり気にしてる場合じゃないよ!

編集部員 すだち
編集部員 すだち

はい…すみません。

配信で「声がこもる」「環境音がうるさい」といったトラブルは、実は“マイク選び”でほとんど防げます。でも最初のうちは、どんなマイクを選べばいいのか迷う人も多いですよね。そこでまずは、よくある音のトラブルから見ていきましょう。

配信を始めたばかりだと、こんな音質の問題に悩むことが多いです。目的に適したマイクを使えば、こうした悩みは一気に解決します。

  • Webカメラの内蔵マイクはキーボードの打鍵音を拾ってしまう
  • ヘッドセットマイクの音は薄っぺらく圧縮されたように聞こえる
  • 音量が不安定で視聴者が常にボリューム調整を強いられる

スペック早見表:3つのマイクを数字で比較

では実際に、配信者の定番として人気の高い Shure(シュア)MVシリーズ の3モデルを見ていきましょう。3つのマイクのざっくりとした基本スペックは以下の通りです。

仕様Shure MV6Shure MV7+Shure MV7i
マイクタイプダイナミック (ムービングコイル)ダイナミック (ムービングコイル)ダイナミック (ムービングコイル)
指向性単一指向性 (カーディオイド)単一指向性 (カーディオイド)単一指向性 (カーディオイド)
周波数特性50 Hz ~ 15 kHz50 Hz ~ 16 kHz50 Hz ~ 16 kHz
A/Dコンバーター16/24-bit, 44.1/48 kHz16/24-bit, 48 kHz24-bit, 48 kHz
接続端子USB-CUSB-C, XLRUSB-C(出力)、XLR/標準フォーン入力
ヘッドホン出力3.5 mm3.5 mm3.5 mm
実売価格目安(参考)約22,000円約35,000円約58,000円

プロ品質を支える3つのポイント

スペック上の違いはあっても、どのモデルにもプロの現場で培われたノウハウが受け継がれています。

ここからは、Shureのマイクに共通する3つのポイントを紹介します。

雑音に強いダイナミックマイク

配信に向いているのが「ダイナミックマイク」です。周囲の雑音を拾いにくく、話者の声だけをしっかり捉えてくれます。

Shureの「ボイスアイソレーション・テクノロジー」は、マイクの構造と指向性を活かして、横や後ろからの音を遮断する技術です。防音されていない部屋でも使いやすいのが特徴になります。

音声を自動で最適化するDSP

MOTIV Mix™アプリの公式画像
出典:https://www.shure.com/ja-JP/products/software/motiv-mix

デジタルシグナルプロセッシング(DSP)は、マイク内部で音声を自動調整してくれる機能です。このDSPが、誰でもプロのような音質を実現できる理由のひとつです。

主なDSP機能には、次のようなものがあります。

  • オートレベルモード
    声の大きさに合わせて自動で音量調整。小声でも大声でも、常に聞きやすい音量になります。
  • リアルタイム・デノイザー
    PCファンやエアコンの音など、持続的な背景ノイズをカットしてくれます。
  • デジタルポッパー・ストッパー™
    「パ行」「タ行」などの破裂音を自動で抑えます。

DSP機能があれば、初心者でもプロっぽい音質が手に入ります。

MOTIV Mix™アプリで簡単コントロール

MOTIV Mix™アプリ(無料)は、Shureのマイクをより使いやすくするための無料ツールです。 マイクのDSP機能(音量調整やノイズ抑制など)も、MOTIV Mix™アプリを使用することで初めてコントロールできます。

画面はシンプルで、チャンネルごとにスライダーが並ぶミキサーのような構成で直感的な操作が可能。 マイクの音と、ゲーム音やBGMなどの音源をひとつの画面でまとめて調整可能です。 配信のバランスを取るのに便利で、「あれ、どの音が大きいんだっけ?」と迷うことが少なくなります。

マイクのファームウェア更新もこのアプリからできるので、いつでも最新の状態で使えます。

実際のMOTIV Mix™アプリの設定画面

MOTIV Mix™はPC版アプリですが、モバイル端末用にはMOTIV AudioやMOTIV Videoというアプリもあります。

  • MOTIV Audio
    高音質レコーディングに特化したアプリです。MOTIVマイクと接続することで、ゲイン管理、5バンドイコライザー、リミッター、コンプレッサーといった高度な設定を利用し、非圧縮WAVオーディオの録音と編集が可能です。
  • MOTIV Video
    MOTIV Audioのすべてのオーディオコントロール機能に加え、プロフェッショナルなビデオ撮影機能を統合したアプリです。デバイスに応じた4Kまでのビデオ解像度選択や、アプリ内からYouTube、Twitchなどへの直接ライブ配信にも対応しており、音質にこだわった動画制作に最適です。

3モデルの特徴と選び方の基準

ここまで紹介したように、Shureのマイクには共通して「ノイズに強く、声がクリアに届く」技術が詰まっています。
ここからは、それぞれのマイクがどんな人に向いているのか、特徴やメリット・デメリットを紹介します。

Shure MV6 — つないですぐ使えるゲーマー向けマイク

こんな人におすすめ

YouTubeやTwitchでゲーム配信を始めたいけど、音声設定に時間をかけたくない人向け。「とにかく接続したらすぐ使いたい」「難しいオーディオの知識はいらない」という方におすすめです。

MV6
出典:https://www.shure.com/ja-JP/insights/why-gamers-need-mv6-auto-level-mode

MV6の特徴

  • USB-Cケーブル一本で接続完了
    箱から出してすぐ使えます。デスクトップスタンドも付属しているので、別途マイクスタンドを買う必要なし。
  • オートレベルモードで音量を自動調整
    小声でも大声でも、自動で聞きやすい音量にしてくれます。
  • リアルタイム・デノイザーで背景ノイズを除去
    PCファンやエアコンの音を軽減してくれます。
  • タップ・トゥ・ミュートボタン
    マイク上部を軽くタップするだけでミュートできます。
MV6の背面の端子

メリットとデメリット

メリット

  • 圧倒的な使いやすさと優れた音質
  • クリアで聞き取りやすい、バランスの良いサウンド
  • 3機種の中で最も手頃な価格

箱を開けてすぐ使えて、音質もクリア。価格もちょうど良く、入門機やサブマイクとして向いています。

デメリット

  • USB-Cのみで、XLR接続は不可
  • 付属USB-Cケーブルは1m(デスクから離れた配置には延長が必要な場合も)
  • デスクトップスタンドは高さ調整不可
  • リアルタイム・デノイザーは断続的なノイズには効果が薄い場合あり
  • 音楽制作や本格的なポッドキャストには向かない場合もある

細かい機能調整を追求するには物足りないので、より本格的な配信環境を目指すなら買い替えが必要になります。

シンプルさという強み

MV6がUSB-C接続だけに絞っているのは、配信初心者にとってメリットです。接続方式の選択肢が多いと「どれを選べばいいのか」で迷いますが、USB-C一択なら「これ一台で完結する」という安心感があります。

想 ふうか
想 ふうか

これなら、機材が苦手なすだち君でもいけそうだね!

その反応がまさにターゲット層ですね。MV6は“迷わず使える”のが最大の武器です

機材に詳しいウマヅラ
機材に詳しいウマヅラ
編集部員 すだち
編集部員 すだち

配信始めたてとか俺みたいに機材苦手な人には、こういう“考えなくていい設計”ありがたいよな~

Shure MV7+ — 将来を見据えた拡張性の高いマイク

こんな人におすすめ

配信から始めて、将来的にポッドキャストやYouTube、音楽録音にも挑戦したい人向け。「今はUSBで簡単に使いたいけど、いずれはプロ用機材にも接続したい」「見た目もこだわりたい」という方におすすめです。

MV7+(ホワイト)
出典:https://www.shure.com/ja-JP/insights/making-a-great-mic-even-better-meet-the-new-mv7-podcast-microphone

MV7+の特徴

  • ハイブリッド接続(USB-C & XLR)
    今はUSB-Cで簡単に使い始めて、将来的にはXLRでオーディオインターフェースに接続可能。マイクを買い替えずに機材をステップアップできます。
  • カスタマイズ可能なLEDタッチパネル
    ライブオーディオメーターとして機能し、入力レベルを視覚的に確認できます。タッチ操作でミュートなども可能。
  • リバーブエフェクト追加
    プレート/ホール/スタジオの3種類のリバーブが使えて、音楽活動や雰囲気のある配信にも対応できます。
MV7+の背面の端子

メリットとデメリット

メリット

  • 声の明瞭さと温かみのあるサウンド
  • SM7Bに近い豊かで厚みのある音質を比較的低価格で実現
  • デュアル出力による高い多様性
  • 一度買えば、長く使える

XLR端子搭載でオーディオインターフェースを使った本格的な収録にも対応。USB&XLR同時出力という珍しい機能も備えていて、かなり柔軟な使い方ができます。

デメリット

  • スタンドは別途購入が必要(スタンド付きのキットセットも販売されている)
  • LEDタッチパネルが敏感なので誤操作を招く場合あり
  • XLR接続時はUSB時のDSPやオートレベルは使えない

DSP機能がUSB接続時のみというのは本当に残念なポイント。XLR接続だけで使う場合は、この価格帯としては少し割高に感じるかもしれません。

拡張性という強み

MV7+は、配信初心者をプロのShureエコシステムへスムーズに移行させる「橋渡し」役です。配信者として成長してもマイクを買い替える必要がないので、長期的な投資価値があります。

想 ふうか
想 ふうか

初心者配信でも、本格的な配信でも使えるってことかな?

そうです。最初はライトに始めて、慣れたらそのまま本格機材へステップアップできるのが強みですね

機材に詳しいウマヅラ
機材に詳しいウマヅラ
編集部員 すだち
編集部員 すだち

“配信デビューからプロ仕様まで”って、ちょっと夢あるなあ・・・

Shure MV7i — 2つの音源を同時に扱えるマイク

こんな人におすすめ

機材を増やさずインタビューや対談形式のポッドキャストや配信をしたい人向け。「ゲストを招いて話したい」「2本目のマイクや楽器を接続したい」という方におすすめです。

MV7iとSM7BをXLRケーブルで繋げた図
出典:https://www.shure.com/ja-JP/insights/choosing-a-microphone-for-podcasting

MV7iの特徴

  • マイクがオーディオインターフェースになる
    2本目のマイクや楽器を直接MV7iに接続できます。別途オーディオインターフェースを買う必要なし。
  • SmartGate™機能で自動音量調整
    話していない方の音量を自動的に下げてくれるので、対談やインタビューがスムーズに進行できます。
  • スマートフォン・タブレットに接続可能
    USB-Cでスマホやタブレットに接続すれば、高品質な2チャンネル録音環境が完成します。
  • ファンタム電源供給対応
    コンデンサーマイクの接続も可能です。
MV7iの背面の端子

メリットとデメリット

メリット

  • 弾き語りや対談収録に最適な2チャンネル対応
  • 2チャンネル録音を簡素化するオールインワン・ソリューション
  • DSP機能は2つ目の入力にも適用可能
  • 別途オーディオインターフェースを購入する必要がない

他にはなかなか見られない機能性。弾き語り配信には最適なマイクと言えます。

デメリット

  • 複数音源を扱わない場合、他のモデルの方が適している
  • USB-C出力のみでXLRマイクとしては使えず 、2ch録音を活かすには追加マイク等が必須 。
  • モバイル機器との互換性は端子に依存

2つの入力をコントロールするUIは、少し使いにくさを感じました。タブで切り替える形式ではなく、同時に表示してくれるとより直感的に操作できそうです。

オールインワンという強み

MV7iは単なるマイクではなく、「2音源問題」を解決するオールインワン製品です。別途オーディオインターフェースを買ったり、複雑な配線を組んだりする手間が省けるので、値段以上の価値があります。

想 ふうか
想 ふうか

2人で話しても自動で音量調整してくれるの!?

SmartGate™の仕事ですね。手動での微調整・操作が必要ないんです

機材に詳しいウマヅラ
機材に詳しいウマヅラ
編集部員 すだち
編集部員 すだち

つまり“話してないときにマイク切っとけ問題”が解決するやつ・・・!

自分に合ったマイクを選ぶために

ここまで3つのマイクをそれぞれ見てきましたが、「結局どれが自分に合うの?」と感じた方も多いかもしれません。
ここでは、各モデルの個性を整理しながら、配信スタイル別におすすめポイントをまとめました。

それぞれのマイクの個性

  • MV6:シンプルで使いやすい入門機(接続してすぐ使える)
  • MV7+:今も将来も使える万能型(拡張性が高い)
  • MV7i:複数音源対応の多機能型(2チャンネル録音に特化)

【動画で比較】3つのマイクの音質を聴き比べてみよう

配信スタイル別に選ぶ Shure MV6・MV7+・MV7i 比較表

モデル選びに迷ったら、下の比較表をチェックしてみましょう。配信スタイルや将来の展望に合わせて、最適なマイクが見えてきます。

Shure MV6Shure MV7+Shure MV7i
主な用途ソロでのゲーム配信多用途のコンテンツ制作(ソロ中心)インタビュー、対談、音楽演奏
こんな人におすすめ簡単セットアップを望む初心者将来の拡張を考える配信者複数音源を扱う配信者
接続性USB-CのみUSB-C & XLRUSB-C出力、XLR/標準フォーン入力付き
最大の強みシンプルさとコストパフォーマンス多様性と拡張性2チャンネル録音を簡素化
パッケージ内容マイク+スタンド完備マイクのみ(スタンド別途)マイクのみ(スタンド別途)
将来の拡張性USB-C接続のみXLR接続で機材追加可能2チャンネル録音環境として完結
キラー機能オートレベルハイブリッド接続内蔵オーディオインターフェース(2入力)

クイック意思決定ガイド

  • ソロでのゲーム配信で簡単セットアップでシンプルさ重視なら → MV6
  • 今はソロ中心だが将来拡張予定で多様性・拡張性重視なら → MV7+
  • ゲストを招いたり楽器演奏を前提で複数音源対応を重視なら → MV7i

まとめ ー あなたに最適なマイクを選ぼう

すべての配信者に合った完璧なマイクはありません。大切なのは自分の使い方に合ったマイクを選ぶことです。

機材に詳しいウマヅラ
機材に詳しいウマヅラ

どんなに良いマイクでも、使いこなせるかは本人次第です!

良い機材を選ぶ理由は、機材そのものを意識しなくて済むようになるためです。音質の心配から解放されれば、配信内容やコミュニティとの交流に集中できます。

ただし、機材が良いだけでは良い配信になりません。コンテンツと機材、そのバランスが評価につながります。機材選びは準備段階の話。これらのマイクは、あなたがコンテンツに集中するための手助けをしてくれる道具です。

機材に詳しいウマヅラ
機材に詳しいウマヅラ

結局、“音”は人を支える裏方。目立たないけど、いちばん大事ですね

【ポッドキャスト配信中】実際の使用感を音声でチェック

実際に各マイクを使用したポッドキャストを「Podcast B面の手ざわり」で11月下旬に公開予定です。

こちらも公開まで楽しみにお待ちください。

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今回検証した機器が気になった方は以下公式サイトで詳細をチェックしてみてくださいね!
MV6:https://www.shure.com/ja-JP/products/microphones/mv6
MV7+:https://www.shure.com/ja-JP/products/microphones/mv7
MV7i:https://www.shure.com/ja-JP/products/microphones/mv7i

機材協力:シュア・ジャパン株式会社
レビュー:ウマヅラ

この記事を書いた人

ストマガ編集部

「ストリーマーマガジン」は、VTuberや配信クリエイターに興味がある方、ご自身でも活動されている方、そしてこれから配信をはじめてみたい方を応援するWebメディアです。 配信初心者さんからベテランさんまで、幅広く楽しめる情報をお届けします。

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