面白いほうを選んだら自衛隊だった
── そもそも、自衛隊に入ったきっかけは何だったんですか?
シナモンさん
資料請求をしたら広報官の方が自宅に来て、「お茶飲みに来てくださいよ」と地本(自衛隊地方協力本部)に誘われたんです。行ってみたら「あなたみたいに運動経験がない人もたくさん入隊していますよ」って言われて、まんまとその場でサインさせられて。受けざるを得なくなって受けたら受かっちゃったから、入っちゃったという(笑)。
── 未知の世界に飛び込めるのがすごいですね。VTuberを始めた時もそうですし。
シナモンさん
基本的に、人生の選択肢で振り返った時に「面白かったな」と思えそうな方をなるべく選びたいんです。VTuberを始めたのもその方が面白そうだったからですし。ただ、そろそろ落ち着きたいなとは思っています(笑)。
── 失敗への恐怖心はない?
シナモンさん
もともと何をしても大体失敗するので、失敗に対する恐怖心がもうあまりないんですよね。どうせ何やったって失敗して怒られるんだったら、一番面白そうなことをやって失敗した方がマシじゃないかって。
── 陸上自衛隊では「準備8割」と言われるそうですが、VTuberになっても経験が活きていますか?
シナモンさん
全然身についてないですね(笑)。自衛隊の時は人に迷惑をかけるので持ち物の準備とかはきっちりやっていましたけど、配信はノリで始めてノリで続けているだけなので、「きちんとやろう」という意識がまったくないんです。何かあっても自分の配信だから自分が解決すればいいし、配信で私が失敗して誰かが死ぬわけじゃないですからね。
── せっかく買った7万円のマイクも2年半使わずに配信していたとか(笑)
シナモンさん
AKG(アーカーゲー)のC214を声優時代に宅録用に買ったんですけど、いいマイクで配信出来てると思ってたら、ある日ずっとウェブカメラのマイクで配信してたことが判明して。2年半、機材投資の効果ゼロの状態でしたね(笑)。あとBGMが入っていないのに誰も教えてくれなかった「アカペラ歌唱事件」とか、事件は数知れずです。でも全部コミックエッセイや配信のネタにしちゃえば笑いにつながるので、面白ければすべてOKの精神です。
── シナモンさんは声優としての経歴もお持ちですが、自衛隊時代のアナウンス経験がきっかけだったそうですね。
シナモンさん
はい。もともと学生時代に舞台の役者を長くやっていたので、喋ること自体に苦手意識はなくて。自衛隊でも腹筋がしっかりあるおかげで腹式呼吸が楽にできて、声が元から大きいんです。声優の養成所でも発声練習のクラスを取らなくていいって言われたくらいでした。
── 自衛隊時代のアナウンスと今の配信で声は違いますか?
シナモンさん
全然違いますね。自衛隊のアナウンスだと(凛々しい声で)「ただいまより、第76回陸上自衛隊総合火力演習を開始します」みたいなきちんとした喋り方をしていました。今のこれはもう完全に作っている声なので(笑)。
【動画】VTuberのあのセリフを自衛官が言ったらどうなる?
── 現在は朝活配信でストレッチもされていますが、あれも自衛隊と関係が?
シナモンさん
本当は自衛隊版ラジオ体操の「自衛隊体操」をみんなでやりたかったんですけど、音源が用意できないし、まだ3Dモデルがないから動きが出せなくて。それで普通のストレッチにして、いつか自衛隊版にしてやろうという布石のつもりで始めました。ラッパも吹けないから「にゃっぱ(口でにゃーにゃー言う)」で代わりにしています。国旗掲揚の8時15分に合わせて「にゃっぱ」を吹いて、数分間コメントを読み上げるっていう流れにしていますね。
── 国旗掲揚の時間! 配信の時間帯も自衛隊とリンクしているんですね。
シナモンさん
それはちょっと逆なんです。自衛隊ではこういう自由な配信ができるような環境じゃなかったので、「俺って今自由だな」というのを実感するためにやっている部分があります。集団生活で声も出せなかった環境から一人暮らしになって、好き勝手できるぞって。
みんな自由にやっていいんだよ
── シナモンさんの配信はリスナーさん同士の掛け合いも楽しくて、団結力がある印象です。
シナモンさん
あ、うちは仲がいい配信だったんですね。よかった(笑)。実は私、結構寂しがり屋なんだなって最近分かってきたんです。仕事の関係で引っ越した時、知り合いが誰もいない状態になって、配信に依存するようになったのが今のスタイルの始まりですね。「みんな配信に来てくれるよね?」って。
── リスナーさんが離れてご苦労された時期もあったそうですね。
シナモンさん
人間関係で色々トラブルがあったり、悪評を流されたり、それを信じる人もいたり、いわゆる毒マロ(匿名メッセージサービスを通じて送られてくる誹謗中傷や辛辣な批判)が来たりもしましたし、それにいちいち傷つく自分は配信活動者に向いてないのかなって悩んだ時期もありました。でも最近は「みんな自由にやろうぜ、俺も好き勝手やるからさ」って気持ちに落ち着いています。
── リスナーさんに伝えたいメッセージはありますか?
シナモンさん
私ってめちゃめちゃ自由に、自分がやりたいことだけをやっているので、「君たちも自由にやっていいんだよ」って伝えたいですね。うちの配信に飽きたら全然来なくなってもいいし、また来たいなって思ったら帰ってきてもいい。そのくらい自由にやってほしいです。
配信ツールAlive Studioアンバサダー0期生の顔
── シナモンさんはAlive Studioのご活用をきっかけにアンバサダーとしてもご活躍されていますが、おすすめ機能などはありますか?
シナモンさん
Alive Studioのお気に入り機能はエフェクト装置です!リスナーさんのコメントで発火するエフェクトの演出で楽しんでいます。あと最近のアップデートで嬉しかったのが、YouTube連携まわりの改善ですね!これまでライブURLを入力し忘れてコメント連携がうまくできないことが多くて……。その話を開発チームにしたら、チャンネルURLやYouTubeハンドルを入力するだけで自動連携してくれる機能を実装してくださったので、本当に楽になりました!こうやってフィードバックを拾ってどんどん便利にしてくれるのは嬉しいですね。
── 自衛隊での経験がVTuber活動のあちこちに息づいていて、とても魅力的でした。「面白いほうを選ぶ」という生き方、これからも応援しています!
元自衛隊のシナモンさん絵日記
インタビュー:加瀨 ひかる
文:坂本 祐介