【レポート】配信者に選ばれる防音室。ヤマハ「セフィーネNS カスタムベースモデル」って実際どうなの?

「テンションを上げたい場面で遠慮してしまう」「音質にこだわりたいのに、生活音が入り込んでしまう」「音漏れからの身バレが心配」など、音にまつわる悩みを抱える配信者は少なくありません。

編集部員 すだち
編集部員 すだち

昨日、ゲーム実況中に叫んだら壁越しに「ナイスキル!」って言われたよ…。

うちは洗濯機の脱水音とBGMが混ざって「トランスっぽくて好き」ってコメントがきたことある…。

編集部員 おかき
編集部員 おかき

そんなライブ配信の悩みを根本から解決してくれるのが、ヤマハの防音室「セフィーネNS」です。 

今回は、株式会社ヤマハミュージックジャパン 鍵盤事業戦略部 アビテックス課 主事の大山 和菜さんに、セフィーネNSの実力や導入時の気になるポイントについて詳しく伺いました!

セフィーネNSとは?

──  セフィーネNSは、どのような目的で生まれた防音室ですか?

主に、楽器の練習やピアノのレッスンなど、一般家庭の中で音を気にせず過ごすために開発された防音室です。防音性能は確保しつつも、賃貸住宅などでも導入しやすいよう、カジュアルに使えることを目指して設計されています。

──  そこから、配信にぴったりの「カスタムベースモデル」ができたんですね。

数年前から、VTuberや歌配信を行う方など、さまざまな配信者の方がセフィーネNSを使っているという声が寄せられるようになりました。そうした声を受けて、より配信用途に適したモデルを提供できないかと考えたのがカスタムベースモデルです。
実際、販売店の現場でも配信目的での導入は年々増えており、楽器は使わないけど防音室が欲しいというニーズでの来店が全体の4割にのぼった時期もありました。コロナ禍を経て、配信やリモートワークなど、静かな個室空間へのニーズは大きく広がっています。

株式会社ヤマハミュージックジャパン 鍵盤事業戦略部 アビテックス課 主事 大山 和菜さん

──  具体的には、どのあたりが配信者向けにアレンジされているのでしょうか?

従来の楽器用モデルの防音性能はそのままに、配信スタイルに合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。たとえば、ご自身で吸音材を用意して音響環境を整えたい方のために、標準搭載していた音場パネルはあえて省いています。また、グリーンスクリーンを設置したいという要望にも応え、壁面はできるだけフラットにしています。さらに、有線接続がしやすいよう、機材配線用の通線穴も新たに設けました。

機材配線用の通線穴

── 「カスタムベース」と聞くと、オプションから選んで追加するイメージをもつ方もいそうですが、音場パネルを省いて、自由にカスタムしてくださいということなんですね。

その通りです。こちらから細かい仕様を指定するのではなく、ご自身で音響環境をカスタマイズできる、というのがこのモデルの特徴です。

── ちなみに、従来のモデルに付いている「音場パネル」とは、どういった役割をするものなんですか?

音の響きを整えるためのパネルです。両側には凹凸のある調音パーツが組み込まれており、音の広がり方をコントロールできます。中央の吸音材は取り外しが可能で、響きを抑えた「デッド」な環境から、残響を活かした「ライブ」な環境まで調整できます。配信時にありがちな、お風呂場のような過剰な反響を防いで、自然で聴きやすい音場に整えることができます。

また、パネル内部には長さの異なる管が組み込まれており、それによってさまざまな音の高さがバランスよく響くように設計されています。コンサートホールなどの壁に見られる凹凸と同じような効果を、限られた空間で実現しているんです。

── なるほど。では、歌配信をする方は、従来のモデルのほうが扱いやすいかもしれませんね。

そうですね。歌や楽器演奏など、音の響きがコンテンツに直結するような配信であれば、音場パネル付きの従来モデルのほうが適していると思います。

── 一方で、カスタムベースモデルが向いているのは、どんな配信者でしょうか?

ゲーム実況や雑談など、話し声をメインに届ける配信スタイルには、カスタムベースモデルが適しています。
また、配信環境をより快適に整えたい方にとっては、吸音材の設置やレイアウトの自由度の高さも魅力です。グリーンバックを使いたい場合や、配線をすっきりさせたい方にも適した構成になっています。

編集部員 すだち
編集部員 すだち

さすがヤマハさん!防音だけじゃなくて、音の響きまで考えて作ってるのがすごいよね。

うんうん。そういうの聞くとますます欲しくなるけど、いざ買うとなると「どう届くの?組み立てって大変?」って、気になることだらけだよ。

編集部員 おかき
編集部員 おかき

防音室はどう届く?搬入から設置後までの流れ

セフィーネNSの導入ステップや、事前に確認しておきたいポイントについてとことん伺いました!

楽器店で体験と相談

── セフィーネNSが欲しい場合、まず何をすればよいですか?

まずは、お近くのヤマハ特約店を公式サイトから検索して、展示されている防音室の遮音性能やサイズ感を体験してください。その後、ご希望のモデルを伺い、設置予定場所の下見に進みます。

── 最低でも何畳あれば設置できますか?

よく「6畳の部屋に入りますか?」といったご相談をいただくのですが、ひとくちに6畳といっても、縦長の形状だったり、マンション特有の柱や梁の影響で天井が下がっているケースもあります。そのため、高さや奥行きが想定と合わないこともあるんです。

「何畳なら設置可能」と一概には言えないため、まずは現地で下見を行い、具体的な可否を確認させていただくのが基本的な流れになります。

── 新築や引っ越し前で現地確認が難しい場合は?

図面でのご相談も可能です。在庫状況にもよりますが、納品まではおおよそ3週間〜1ヵ月ほどかかります。引っ越しにあわせて使いたい場合は、早めにご相談いただくと、スムーズに使い始められるかと思います。

── 問い合わせの際は、配信者であることを伝えた方がいいですか?

そうですね。カスタムベースモデルの提案ができたり、配線の穴の位置を調整できたりしますので、伝えていただいた方がご案内しやすいです。

搬入経路と設置可否の確認

── 設置前に、搬入やスペースの確認などは行ってもらえるのでしょうか?

はい。下見の際に搬入経路や設置スペースのサイズを確認し、問題がないかをチェックしますのでご安心ください。パネルのサイズは幅0.9m、高さ2〜2.2m程度で、どのモデルでもパネルの枚数が異なるだけで、サイズそのものは共通です。標準的なエレベーターがあれば搬入できますし、エレベーターがない場合でも階段での対応が可能です。

── 重量についても気になります。木造住宅の2階でも設置できますか?

建物の構造によって異なりますが、ヤマハとしては木造2階への設置は推奨していません。床が抜けるような危険性はないものの、構造によってはたわみが生じる可能性があるためです。設置の可否は建物の設計次第となるため、戸建てであれば施工した工務店に、集合住宅であれば管理会社や大家さんに、事前のご確認をお願いします。

── 搬入時、家具は移動しておいたほうがいいですか?

はい。机や椅子など、動かせる家具は事前に別の場所へ移動をお願いします。防音室の設置にはある程度のスペースが必要ですが、ベッドの位置を調整するなどして確保できれば、ワンルームでも設置可能です。ご自身で動かせない重さのスピーカーなどがある場合は、事前にご相談ください。

搬入と組み立て

── 搬入はどのように行われますか?

パネルを設置する部屋まで運び入れ、その場で組み立てを行います。スペースに余裕があればそのまま展開しますが、通路が狭い場合などは玄関先や廊下で一部を開梱し、順番に搬入します。6畳程度の部屋でも問題なく設置可能です。

── 組み立てにはどのくらい時間がかかりますか?

サイズによって異なりますが、通常は2〜3時間、長くても半日ほどで完了します。エアコンや火災報知器の取り付けがある場合は、追加の時間がかかることもあります。

── 組み立て時に注意すべきことはありますか?

組み立て後に室内へ家具を運び入れる場合は、搬入可能なサイズかどうかを事前にご確認ください。

アフターサポート

──  引っ越しの際はどうすればよいですか?

専門業者による移設サービスをご利用いただけます。まずはご購入店にご相談ください。

── メンテナンスは必要ですか?

基本的には不要ですが、換気扇などのパーツは10〜15年を目安に交換が必要となることがあります。

── 購入店が閉店していた場合は?

ヤマハにご相談いただければ、近隣の対応店をご紹介するなど、サポートが可能です。

編集部員 すだち
編集部員 すだち

心配事が消えて、かなりイメージがわいた!でも、組み立ての様子も実際に見てみたいよね。

そんな方のために、搬入から組み立てまでの流れを動画にまとめました!動画の後半に遮音性能についても触れているので、導入を検討している方は、参考にしてみてくださいね。

編集部員 おかき
編集部員 おかき

※動画を再生すると大きな音が出ますので、音量にご注意ください。

セフィーネNSの防音性能はどれくらい?

── 今回、組み立てていただいた「セフィーネNS カスタムベースモデル(1.5畳)」は「Dr-35」となっていますが、これはどういう意味ですか?

Dr-35は、室内で発生した音が防音室を通してどれだけ減衰するかを示す遮音性能の値です。ピアノの音はおよそ80〜90dBありますが、Dr-35であれば、それが55dB程度まで下がるというイメージになります。55dBというのは、私たちが普通に会話しているくらいの音量です。

── つまり、防音室の外、隣の部屋や隣家にはテレビの音が聞こえないのと同じように、ピアノの音もほとんど届かないということですね。

そうですね。防音というと0dBにしなければいけないと思われがちですが、実際の生活環境では完全な無音(0dB)は存在しません。空調や外の車の音など、常に30dB前後の暗騒音があり、無人の劇場やスタジオでも20dBあると言われています。Dr-35の防音性能があれば、日常生活の中で気にならないレベルにまで音が抑えられます。

── 配信中に声が大きくなるような場面でも、そのくらいの性能があれば身バレの心配もないですね。

はい。大声を出しても、Dr-35であれば隣室では会話音程度にまで抑えられます。建物の構造や時間帯にもよりますが、一般的な生活音と馴染むレベルにまで減衰されるため、常識的な使用であれば問題になるケースは少ないと思います。

── 夜間に配信したいという方もいらっしゃると思いますが、その点はいかがでしょうか。

建物の構造にもよりますが、鉄筋コンクリート造など防音性の高い建物であれば、深夜帯でも安心して配信できると思います。木造住宅のような音が伝わりやすい環境でも、外への音漏れはかなり抑えられます。

── なるほど。外に音が漏れづらいということは、配信者の方にとっては身バレのリスクを減らすという意味でも安心ですね。

そうですね。自分の出す音が周囲に届かないのはもちろん、外からの音も入ってきづらくなるため、配信のクオリティや安心感は大きく変わってくると思います。

配信環境の室内イメージ

使用製品提供:バウヒュッテ
ゲーミングデスクHD BHD-1200HDM-BK / 昇降式L字デスク BHD-670H-BK / ゲーミングチェア G-520-BK

セフィーネNSの使いやすさを高めるカスタマイズ

── 室内の照明は自分で用意する必要があるのでしょうか?

はい。オプションとして照明器具はご用意していますが、今使っている照明をそのまま使いたいという場合にも対応できるよう、照明を引っかけるためのローゼットが標準で付いています。その金具に合うものであれば、市販の照明やご自宅のものを取り付けていただけます。

── 配信者の方だと、顔の映りを考えて正面にLEDバーを設置したいというケースもあると思いますが、壁への取り付けは可能でしょうか?

壁はパーティクルボードという素材でできているため、石膏ボード用のピンなどは使えません。ネジも音漏れの原因になることがありますし、重いものを掛けるのもおすすめしません。クランプで机に固定できるライトや両面テープで貼れる軽いものをご検討いただければと思います。

── エアコンの設置は可能ですか?

1.2畳以上のモデルであれば市販のルームエアコンに対応しており、設置工事とあわせてご相談いただけます。防音室は密閉性が高いため、夏場は熱がこもりやすく、パソコンなどを使用する配信環境では排熱も多くなることから、エアコンの導入をおすすめしています。

また、後から追加しようとすると防音室のパネルを一部取り外す必要が生じたり、配管ルートによっては設置が難しくなることもあるため、導入時にあわせてご検討いただくと安心です。

── 配信者の方って、室内を暗くしてネオンを使ったり、黒を基調にしたいという方も多いと思うのですが、そういったカラー展開の予定はありますか?

現状では黒展開の予定はないのですが、ご要望が増えれば検討するかもしれません。過去には、東京ゲームショウに参考出展したときに、カスタムベースモデルの室内にシートを貼って、間接照明を仕込んだ究極のカスタムモデルを展示したこともあります。お客さまご自身でそういったカスタムをされる方もいらっしゃいます。

東京ゲームショウでの展示

── 一部屋全体を防音室にすることはできますか?

部屋いっぱいに設置したいというご相談をいただくこともあります。設置にあたっては、音の振動が伝わらないように建物の壁から最低でも5cmほど離して設置する必要があります。ドアの開閉スペースや換気扇の空気の流れを確保する必要がある面では、もう少し広めに空けることもあります。エアコンを取り付ける場合も、配管を通すために追加の空きが必要になることがあります。

また、小型モデル(0.8〜1.5畳)は外開きドアが基本ですが、2畳以上のモデルでは内開きドアにも対応可能です。換気や配管ルートなどの条件を踏まえる必要はありますが、ドアを開けたらすぐ防音室といった、限られたスペースを最大限に活かす設置も状況によっては実現できます。

── セフィーネNS内でWi-Fiは使えますか?

使用できます。ただし、通常の壁と同様、防音室の壁一枚を隔てるぶん、電波がやや弱くなる場合があります。安定した通信を必要とする配信用途では、有線接続をおすすめしています。
あわせて、インターホンの音が届きにくくなる点にも注意が必要です。ピアノ教室などでは、来客に気づくためにワイヤレス子機を設置するケースもあります。

引っ越し2回分で買える防音室、アリ?ナシ?

── セフィーネNSが欲しいと思ったときに、気になるのがコストですよね。こちらのカスタムベースモデル(1.5畳)は91万3,000円(税込)と決して安くはありませんが、たとえば4年間使うと仮定した場合、月あたりの負担は約1万9,000円ほどになります。その耐久性って、実際のところどうなんでしょうか?

防音室は10年、20年と使っていただける製品です。旧モデルを20年以上使い続けている方もいらっしゃいますので、4年程度の使用であればまったく問題なくお使いいただけます。実際、音楽教室などでは1日に何十人と出入りしていても問題なく稼働しています。

── となると、8年使えば月あたり9,500円と、ジムの月会費と大きく変わらない計算です。長期的に見れば、配信環境を整えるための投資としては、十分現実的なラインだと感じます。

そうですね。配信活動をされている方にお会いすると、やはり音の問題は避けて通れません。とくに深夜帯になると、隣室から苦情が入ることもあります。そうなると、配信をやめるか、引っ越すかという選択を迫られる場面も出てきます。実際に、音の問題で3回引っ越したライバーさんもいらっしゃいました。
引っ越しには初期費用だけで40〜60万円かかることが多く、そう何度も繰り返せるものではありません。その点、防音室があれば音響のクオリティも高まり、周囲に気兼ねなく活動できるというのは、大きなメリットだと思います。

配信に防音室を導入するか迷っている方へ

── 最後に、ご購入を検討されている方に向けて、ひとことメッセージをお願いできますか。

ヤマハの防音室は、配信活動をされている多くの方にご利用いただいており、「配信のクオリティが上がった」「家族や周囲を気にせず話せるようになった」といった声が寄せられています。

防音室と聞くと、楽器をやっていない方にとっては敷居が高いかもしれませんが、実際には配信やリモートワークなど、楽器以外の用途でご相談に来られる方が多くいらっしゃいます。

ちょっと見てみたい、話だけ聞きたいという段階でも大丈夫なので、お近くの楽器店でお気軽にご相談ください。

編集部員 すだち
編集部員 すだち

もはやセフィーネNSの方が僕を待ってる気がしてきた!早速、相談に行ってくる!

その心の声も防音しておかないと、店員さんが混乱しちゃうよ。

編集部員 おかき
編集部員 おかき

気になる方は、公式サイトで最新情報をチェック!

セフィーネNSは、あなたの配信や創作活動をより豊かに安心して継続するためのプライベートスタジオです。音の悩みを解消し、質の高いコンテンツを生み出すために、ぜひ一度ヤマハの防音室を体験してみてください。

ヤマハの防音室セフィーネNSの詳細については、こちらをご覧ください。

https://jp.yamaha.com/products/soundproofing/ready-made_rooms/index.html

インタビュー:坂本 祐介
文:山口 美里
写真:住友 順

この記事を書いた人

               

ストマガ編集部

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