判断軸はいつも「リスナーがやって欲しいこと」
―― お話を聞いていると、すごくたくさんのお仕事について、やるやらないを判断されていますよね。基本はおひとりで決められるんですか?
さくやさん
仕事の判断は、基本的に自分でしますね。営業メールの1通目で、相手がどういう温度感で来ているか、ある程度は見えるので。歌には自信がないんですけど、人を見る目には自信はあって(笑)。「これは大丈夫」って判断できる案件は、誰にも相談せずに進めます。
―― 逆に、相談したくなる案件は?
さくやさん
自分の決断で結構な人数に影響が出そうな大きい案件のときだけは、占い師さんに相談することがありますね。私、占いがすごく好きで。
VTuberになる前にも「企業に長く所属する活動は向いていない」と言われたことがあって、「なるほど、じゃあ個人勢でいいんだ」と腑に落ちた経験があります。
―― 占い師さんはタッグを組むパートナーみたいな感じなんですね。
さくやさん
そうそう、頼れる相棒(笑)。別に「占いに従う」ってわけではなくて、自分のなかで答えはほぼ決まっているけど、最後の背中を押してもらいに行く感じです。
―― 個人勢を選んだのも、自分に裁量があるからでしょうか?
さくやさん
それもあります。あとは、自分と同じ熱量を周りにも求めてしまうタイプなので、「真面目すぎ」「熱が強すぎ」って言われやすくて。集団のなかだと浮いてしまうことが多くて、結局ひとりのほうがいいのかな、って思うようになりました。
―― 最近は、ご自身をハンドリングできそうな事務所があるなら検討したいと思うこともあるとか。
さくやさん
そうなんです、忙しくなってくるにつれて、スケジュールを飛ばしてしまうことがあって。
Discord(配信者の連絡手段として広く使われているチャットツール)は既読にしたら未読に戻せないので、その場で返さないと忘れちゃうんです。家にいるときは大丈夫なんですけど、誰かと外にいるときに携帯を触っていると、返信できていなかったり。
だから、マネージャーさんがいたら助かるなあと思いつつ、もし万が一ミスをされたときに人のせいにするのも嫌なので(笑)。それを考えると、結局はひとりかな、っていう気もしています。
―― 自己プロデュースの軸を伺っていると、自分のやりたいこと以上に「リスナーがやって欲しいこと」を優先されている気がします。
さくやさん
それが私の活動の根本ですね。「自分がやりたいことだけやるなら、それは趣味」だと思っていて。少なからずお金をいただいて活動している以上、お願いされたことはなるべくやるようにしています。もちろん、人脈や技術的にどうしても無理なことは「できない」と正直にお伝えしますけど、できるならやってあげたい、っていう気持ちはずっとあります。
―― 「できない」と言ったケースも?
さくやさん
スニーカーを作って欲しい、って言われたときは「これは無理です」と(笑)。本気でやるなら、工場と組んでガチガチにやらないといけない案件で、私の人脈の範囲ではどうしても難しかったので。あと、MV制作のリクエストには「経費を回収できるグッズ展開とセットなら」っていう条件をつけることはありますね。
―― 金銭面を隠さずに伝えるのが潔いですね。
さくやさん
隠したくないんですよね。あとで「思ってたのと違う」ってなるほうが、お互い嫌じゃないですか。
アイドルへ!「やらない」が「やる」に変わるとき
―― 4月下旬の「ニコニコ超会議2026」で、半年限定の入れ替え制アイドルユニットへの参加が発表されました。これまで、ユニット活動はやらないとおっしゃっていましたがどういった心境の変化だったのでしょうか?
さくやさん
そうなんですよ。一匹狼でやってきたコンセプトもあって、最初は本当にすごく悩みました。話を受けて2日くらい、ずっと頭を抱えていたくらいで。
―― なぜ受けることに?
さくやさん
私が個人的にあるアイドルグループを推すようになって、その経験で「アイドルを応援する気持ち」が初めて分かったんです。「誰かを応援したいって、こういうことなんだ」って。
そう思えたときに、「私自身がアイドルのユニットに入ったら、リスナーさんはペンライトを振ったり、応援したりできて楽しいのかな」って想像が膨らんで。「自分がやりたいか」じゃなくて「リスナーがやって欲しいか」を軸にしているので、それなら挑戦してみよう、と決めました。
―― ご自身の推し体験が、判断の決め手になったんですね。
さくやさん
そうなんです。応援する気持ちが分からないままだったら、たぶんお断りしていたと思います。
―― 占い師さんにも相談されたとか。
さくやさん
「ユニットなんて向いていないと思っていたんですけど」って相談したら、「今年は新しい人にいっぱい出会って、新しいことにいっぱい挑戦する選択の年」と言われて。「じゃあ、目の前に来たカードを選ぼう」と決断しました。
―― その言葉が胸に馴染んだんですね。
さくやさん
背中を押されたときに、自分のなかにあった答えがすっと表に出てきた感じでした。
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