Elgato Network Dock レビュー:Stream Deckをネットワーク経由で、どこでも自由に

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Stream Deckは、多くのストリーマーやクリエイターにとって必要不可欠なデバイスとなりました。しかし、その便利さもUSBケーブルの長さに制限されてきました。今回レビューする「Network Dock」は、その制約を取り払い、Stream Deckをネットワーク経由で接続可能にする画期的な製品です。
本記事では、Network Dockの基本的な機能から実際の使用感、メリット・デメリットまでを詳しく解説します。

Stream Deckって便利だけど、USBケーブルの長さに縛られて置きたい場所に置けなくて困っちゃうんだよね…
そんな悩みを解消してくれるのが、このNetwork Dockなんです。LAN経由で遠隔操作が可能になるんですよ♪


すごーい!!でもLAN接続って難しいのかな…?
いえ、セットアップも直感的で、驚くほど簡単です。早速ご紹介しましょう。

※本記事執筆時点(2025年9月12日)では、日本国内での発売は未定です。最新の販売状況については、メーカー公式サイトをご確認ください。
Network Dockとは?

Network Dockは、Stream DeckをLANケーブルを通じてネットワークに接続するためのアダプターです。これにより、PCから物理的に離れた場所でもStream Deckを設置・操作できるようになります。
特に以下のようなプロフェッショナルな現場での活用が期待されます。

放送スタジオでは、複数のカメラや機材を操作するコントロールルームでの使用に最適です。ライブイベント会場では、照明や音響を遠隔で操作するブースに設置できます。また、大規模な配信セットアップにおいて、PC本体を目立たない場所に隠してデスク周りをすっきりさせたい場合にも活用できるでしょう。
Stream Deck本体のレビューも気になる方はこちらの記事もチェックしてみてください。
【配信初心者にもオススメ】Stream Deck / Stream Deck + 実機レビュー&活用ガイド
開封と外観デザイン

Network Dockは非常にコンパクトな設計です。寸法は59 × 79 × 27 mmと手のひらサイズで、付属品にはNetwork Dock本体、取り付けブラケット、Stream Deck XLマウント用アダプター、USB-C to USB-C ケーブル(15 cm)、クイックスタートガイドが含まれています。
筐体はシンプルながらも頑丈な作りで、プロの現場での使用にも耐えうるデザインです。付属のブラケットを使えば、壁やラックへの固定も簡単に行えます。

えっ、手のひらサイズ!?もっと大きいもの想像してた…!

確かにこれならこれならデスク周りもすっきりできそうだね♪
まさにNetwork Dockなら、ケーブルのごちゃつきからも解放されますよ!

主な特徴と技術仕様
ネットワーク接続とPoE対応
Network Dockの最大の特徴は、イーサネット(RJ45)ポートを介したネットワーク接続です。さらにPoE (Power over Ethernet, IEEE 802.3af)(※)に対応しているため、PoE対応のスイッチングハブがあれば、LANケーブル1本でデータ通信と電力供給の両方が可能になり、配線が非常にシンプルになります。
(※)PoE(ピーオーイー)とは「Power over Ethernet」の略で、LANケーブルを通してネットワーク機器に電力とデータを同時に供給する技術です。
簡単なセットアップ
通常はDHCP(※)対応のネットワークに接続するだけで、自動的にIPアドレスが割り当てられ、特別な設定は不要です。もちろん、必要に応じて静的IPアドレスの設定も可能です。
(※)DHCP(ディーエイチシーピー)とは「Dynamic Host Configuration Protocolの略で、ネットワークに接続する機器(パソコンやスマートフォンなど)に、IPアドレスなどの必要な設定情報を自動で割り当てる技術です。
対応ソフトウェア
Network Dockは、標準のソフトウェアだけでなく、プロ向けの高度な制御アプリケーションにも対応しています。
- Elgato Stream Deck:標準の公式ソフトウェアです
- Bitfocus Companion: 放送業界の標準とも言える、外部機器と連携するための強力な制御ソフトウェアです
- Bitfocus Buttons: Companionと連携して使用できる多機能なボタンシステムです
技術仕様
- イーサネット: RJ45ポート、PoE (IEEE 802.3af)対応
- 電源(PoE非対応の場合): USB-C (PD 3.0以上, 5V, 最小0.9A)
- Stream Deck 接続: USB-C (USB 2.0, 5V, 最大0.7A)
互換性
Network Dockは、比較的新しいモデルのStream Deckに対応しています。
対応モデル:
- Stream Deck Mini
- Stream Deck (MK.2)
- Stream Deck XL
- Stream Deck +
- Stream Deck Neo
- Stream Deck Pedal(DHCPネットワークでのみ動作)
非対応モデル:
- 初代 Stream Deck(製品番号: 20GAA9901)
- Stream Deck Studio(ネットワーク機能搭載済み)
購入前には、お持ちのStream Deckが対応しているかを必ず確認してください。
実際に動かしてみた(セットアップと基本動作)

実際にNetwork Dockをセットアップして、基本的な動作を確認した手順と感想をまとめます。
使用環境
- PC: Apple MacBook Pro
- ソフトウェア: Elgato Stream Deck(検証用ベータ版)
- Stream Deck: Stream Deck (MK.2)
- スイッチングハブ: TP-Link TL-SG105LP(PoE+対応)
- LANケーブル: カテゴリ6A
セットアップ手順
セットアップは驚くほど直感的でした。
- Network DockにLANケーブル(PoE対応ハブに接続)を接続
- Network DockとStream Deckを付属のUSB-Cケーブルで接続
- PCでStream Deckソフトウェアを起動
- 設定画面のBrowse Network Devicesからネットワーク上のStream Deckを選択

一度Stream Deckをアプリ上で登録すると、次回以降の接続は自動的に認識されます。環境が整っていれば驚くほど簡単に接続できます。
動作とレスポンス
ネットワーク経由での操作に遅延がないかという点が気になりましたが、結論から言うと通常のUSB接続と全く変わらない操作感でした。ボタンを押してからPC上でアクションが実行されるまでのレスポンスは非常に速く、遅延は全く感じられません。アイコンの表示切り替えもスムーズで、ストレスなく使用できました。

え、遅延がないの!?USBと変わらないなんてすごい!
はい、ネットワーク経由でもボタン操作はほぼリアルタイムに感じましたね。


どこに置いても動作に影響ないなら安心だね♪
使用時の注意点
- 使用するアプリはNetwork Dock対応のアプリを利用してください
- PCがスリープになるとIP設定画面に戻ります
- 基本的には1対1接続で、Dock 1台につきStream Deckは1台までです
- サブネットマスクは同一、IPアドレスは下位のホストアドレス以外は同じネットワークアドレス環境下で使用してください(DHCPで問題があった場合)

- IPv4のみ対応で、IPv6環境では現在使用できません(将来的に対応予定)
- ネットワークにPoE環境がない場合、Type-Cによる電源供給が必要です
実際の使用感と応用シーン
Network Dockを導入することで、これまで不可能だった柔軟なセットアップが実現します。
たとえば、メインPCをスタジオの隅や別の部屋に設置し、撮影セットにはStream Deckだけを持ち込んで操作するといったことが可能になります。USBケーブルの長さに悩まされることなく、デスクトップのセットアップが劇的にクリーンになります。
また、プロの放送現場で広く使われているBitfocus Companionソフトウェアとの連携も強力で、ネットワーク経由で本格的な放送機材の制御も可能になります。さらにStream Deckは放送現場以外でも活用されているのでネットワーク上にコントロール用のPCがあれば運用できるという自由度は活用シーンの幅が大きく広がると思います。
メリットとデメリット
メリット
設置場所の自由度: USBケーブルの長さに縛られず、どこにでもStream Deckを設置できます。
配線の簡素化: PoE対応により、LANケーブル1本で接続が完了します。
プロ向けの拡張性: 複雑なスタジオや放送環境での運用に最適です。
簡単なセットアップ: ネットワークに接続するだけで基本的に使用可能です。
デメリット
価格: 一般的な個人ユーザーにとっては高価に感じられる可能性があります。
互換性の制限: 初代Stream Deckなど、一部の旧モデルには対応していません。
ニッチな製品: 明確な用途がない限り、そのメリットを最大限に活かすのは困難です。

USBケーブルの長さが足りなくて悩んでいるクリエイターさんには、救世主だね!
設置場所の自由度や配線の簡素化、これが大きなメリットです。


なるほど、これならデスク周りもきれいに保てる…!かも!
まとめ:どのようなユーザーにおすすめか
Network Dockは、すべての人におすすめできる製品ではありません。しかし、「USBケーブルの長さが足りない」「もっと自由な場所にStream Deckを置きたい」という明確な課題を抱えているプロのクリエイターや、放送・イベント業界の技術者にとっては、唯一無二の解決策となるでしょう。

ケーブルに縛られないって、こんなに快適なんだなぁ……自由って尊い
Stream DeckをNetwork Dockでネットワークに接続することで、IP経由での遠隔操作が可能になり、ハードウェアレベルでの柔軟なコントロールを実現します。これは、販売元や機種の垣根を超えた広範な対応により、従来にない画期的なツールになると考えます。
自身のセットアップをより高度でクリーンなものにしたいと考えているなら、導入を検討する価値は十分にあります。

配信環境も整ったし……あとは中の人のやる気次第か……(小声)
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今回検証した機器が気になった方は以下もチェックしてみてくださいね!
https://www.elgato.com/ww/ja/p/network-dock-stream-deck
機材協力:Corsair Gaming, Inc.(Elgato)
レビュー:ウマヅラ