OBSのエンコーダ設定ガイド!配信・録画を高品質にする設定とは?

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OBS Studioにおいて、高品質の配信・録画に欠かせないエンコーダ設定。しかし、エンコーダの設定項目が多いため、どのように設定すればよいかわからない方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、OBSで配信・録画を高品質にするエンコーダ設定について解説します。
OBSのエンコーダ設定の重要性
OBSはエンコーダ設定により、配信・録画の品質が左右されます。ここでは、OBSにおけるエンコーダの役割や、エンコーダ設定の重要性について解説します。
エンコーダとは?
エンコーダは、映像や音声データをデジタル形式に変換し、効率的に圧縮する技術です。未加工の映像・音声データは容量が大きすぎるため、エンコーダで圧縮し、インターネットを介して効率的に送信できる形式に変換が必要です。
OBSでは、ハードウェアエンコーダ(GPU使用)やソフトウェアエンコーダ(CPU使用)が選択可能で、PC環境や目的に応じた使い分けが求められます。
エンコーダ設定の重要性
エンコーダを適切に設定することで、視聴者に高品質のコンテンツを提供可能です。ビットレートや解像度などの調整は、映像の滑らかさや鮮明さに直結します。また、音声エンコーダの設定も、クリアな音質の実現に欠かせません。
設定の最適化により、視聴者の満足度が高まり、配信の成功につながります。
【用途別】OBSのおすすめエンコーダ設定
OBSのエンコーダ設定に唯一の正解は存在しません。用途により最適な設定が異なります。ここでは、OBSで配信・録画する際のおすすめ設定について解説します。
配信時のおすすめエンコーダ設定
配信は、インターネットを介して視聴者に動画を届けるため、インターネット環境に配慮した設定が必要です。以下に、配信時のおすすめ設定目安をまとめたので、参考にしてください。
設定項目 | おすすめ設定 |
---|---|
音声エンコーダ | CoreAudio AAC ※iTunesダウンロードで利用可能 |
映像エンコーダ | NVIDIA NVENC H.264 |
レート制御 | CBR |
ビットレート | 6,000kbps以上 ※配信サイトの上限値まで |
キーフレーム間隔 | 2s |
プリセット | P5:Slow(高品質) |
プロファイル | high |
マルチパスモード | 1パス |
音声ビットレート | 128kbps |
出力解像度 | 1920×1080(1080p) |
フレームレート | 60FPS |
録画時のおすすめエンコーダ設定
録画は配信と異なり、インターネット環境を考慮する必要がありません。そのため、以下の表では高画質録画する際のおすすめ設定目安を紹介しています。
設定項目 | おすすめ設定 |
---|---|
音声エンコーダ | CoreAudio AAC ※iTunesダウンロードで利用可能 |
映像エンコーダ | NVIDIA NVENC H.264 |
レート制御 | CQP |
ビットレート | 6,000kbps以上 |
キーフレーム間隔 | 0s |
プリセット | P5:Slow(高品質) |
プロファイル | high |
マルチパスモード | 2パス(1/4解像度) |
音声ビットレート | 192kbps |
出力解像度 | 1920×1080(1080p) |
フレームレート | 60FPS |
OBSで画質・音質に影響するエンコーダ設定項目
前述のおすすめ設定で紹介したように、OBSにはさまざまなエンコーダに関する設定項目が存在します。ここでは、各設定項目の詳細について解説します。
音声エンコーダ

音声エンコーダは、音声データを圧縮し、配信や録画に適した形式に変換する役割を担います。適切に選択すれば、同じビットレートでも音質が向上し、視聴者にクリアな音声を届けられます。
OBSで使用できる音声エンコーダの具体例は、以下のとおりです。
- FFmpeg AAC
- CoreAudio AAC ※iTunesダウンロードで無料利用可能
FFmpeg AACでも問題ありませんが、高音質を追求するならCoreAudio AACがおすすめです。
映像エンコーダ

映像エンコーダは、映像データを圧縮し、配信や録画に適した形式に変換する役割を担います。適切に選択すれば、同じビットレートでも画質が向上し、視聴者に高品質な映像を届けられます。
OBSには、CPUを利用するソフトウェアエンコーダとGPUを利用するハードウェアエンコーダがあり、以下のような映像エンコーダが利用可能です。
エンコーダ | 特徴 |
---|---|
x264 | CPUを利用し、低遅延・高効率 |
NVIDIA NVENC H.264 | NVIDIA GPUを利用し、低遅延・高効率 |
NVIDIA NVENC HEVC | NVIDIA GPUを利用し、4Kや高解像度向け |
NVIDIA NVENC AV1 | NVIDIA GPUを利用し、最新AV1対応・高圧縮効率 |
AOM AV1 | オープンソースで高効率 |
SVT-AV1 | 高圧縮効率かつ高画質 |
QuickSync H.264 | Intel GPUを利用で高速 |
QuickSync HEVC | Intel GPUを利用し、高解像度対応 |
AMD HW H.264 | AMD GPUを利用し、高効率 |
Apple VT H264 ハードウェアエンコーダ | Mac向けで高品質・高効率 |
なお、上記エンコーダはPC環境によって選択できるものは異なり、x264しかない場合もあります。NVIDIA NVENCの使用をおすすめしますが、選択できずソフトウェアエンコーダを使用する場合には、x264を使用しましょう。
レート制御

レート制御は、エンコーダが映像データを圧縮する際のビットレート(データ量)の管理方法を指します。適切な選択により、配信・録画の画質とファイルサイズのバランスを最適化し、視聴者に高品質な映像を提供できます。
OBSで選択できるレート制御は、以下のとおりです。
- CQP:映像の品質を一定に保つ
- CRF:ビットレートを変動させながら一定の画質を維持
- CBR:固定ビットレートでエンコード
- VBR:シーンの複雑さに応じてビットレートを動的に調整
- ABR:平均ビットレートに基づいてエンコード
上記は、映像エンコーダにより選択できる方法が異なります。配信時にはCBR、録画時にはCQP・CRFの選択がおすすめです。
ビットレート

ビットレートとは、1秒間に処理・伝送されるデータ量を示す指標で、動画や音声の品質に直接影響します。高いビットレートは高品質な映像・音声を提供しますが、ファイルサイズが増加します。
OBSで高品質な配信・録画をする場合には、フルHD(1920×1080)であれば6000kbps以上がおすすめです。
なお、レート制御がCQPやCRFの場合、ビットレートを直接指定するのにかわり、品質レベルの設定にかわります。
CQPやCRFの設定数値は低くなれば高品質になる反面、ファイルサイズが大きくなるため、20を基準にするとよいでしょう。
OBSでの配信と録画時のビットレート目安は、以下の記事でも解説しています。
【OBSのビットレート目安】配信&録画時の設定をわかりやすく解説
キーフレーム間隔

キーフレーム間隔とは、動画エンコーディングにおいて、完全なフレーム(キーフレーム)の挿入頻度を示す設定です。キーフレームは、後続のフレームが参照する基準となるフレームで、動画の圧縮効率と品質に影響します。
キーフレーム間隔を短くすると画質が向上する反面、データ量が増加します。一方、キーフレーム間隔を長くするとデータ量は減少しますが、画質低下の可能性もあるため注意が必要です。
録画時には0s、配信時には2sにするのがおすすめです。
CPU使用のプリセット

CPU使用のプリセットは、エンコーダが映像を圧縮する際の処理速度と品質のバランスを設定する項目です。処理速度優先の設定ではCPU負荷が低い反面、圧縮効率が低く画質は劣化します。一方、品質優先の設定では高画質になる反面、CPU負荷が高くなります。
OBSでNVIDIA NVENC使用時、プリセットで選択できる設定は以下のとおりです。
- P1:Fastest(最低品質)
- P2:Faster(より低品質)
- P3:Fast(低品質)
- P4:Medium(中品質)
- P5:Slow(高品質)
- P6:Slower(より高品質)
- P7:Slowest(最高品質).
おすすめはP4:Medium(中品質)やP5:Slow(高品質)ですが、配信環境やPC性能に応じて、適切なプリセットを選択しましょう。
プロファイル

プロファイルは、エンコード時の圧縮効率と互換性を決定する設定項目です。OBSでは以下の設定が可能です。
- baseline
- main
- high
highが最も高圧縮効率で高品質な映像を提供できるため、OBSで高品質の配信・録画を実現したいなら、highにしておくとよいでしょう。
マルチパスモード
マルチパスモードとは、エンコード時に映像データを複数回解析・圧縮する手法です。
1パスと2パスがあり、1パスは高速ですが、予測に基づくため画質が不安定になる可能性があります。一方、2パスは事前にデータを解析し、最適なビットレート配分をおこなうため、エンコード時間は長くなるものの、動きの激しい映像でも高品質な結果を得られます。
配信時のようにレート制御でCBRを選択する際は1パス、録画時のようにCQP・CRFを選択する際は2パスがおすすめです。
マルチパスモードについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。
OBSのマルチパスモード完全マニュアル!用途別おすすめ設定も紹介
音声ビットレート

音声ビットレートは、1秒間に処理・伝送される音声データの量を示す指標で、音質に直接影響します。高いビットレートは高音質を提供しますが、ファイルサイズが増加します。
OBSで選択できる音声ビットレートは、以下のとおりです。
- 32
- 40
- 48
- 56
- 64
- 72
- 80
- 96
- 112
- 128
- 144
- 160
- 192
- 224
- 256
- 288
- 320
一般的に、音楽や高品質な音声を含む配信には192kbps以上がおすすめです。
出力解像度

出力解像度は、配信や録画時に生成する映像の縦横サイズを指します。高い解像度は鮮明な映像を提供しますが、データ量が増加し、視聴者の回線負荷やPCの処理能力に影響を与えます。
OBSの出力解像度で選べる選択肢は、以下のとおりです。
- 1920×1080
- 1536×864
- 1440×810
- 1280×720
- 1152×648
- 1096×616
- 960×540
- 852×480
- 768×432
- 696×392
一般的に、フルHD(1920×1080)が高画質でおすすめです。ただし、データ量が大きくなるので、画像がカクつくなど不具合がある場合は1280×720まで落として見るなど、視聴環境や配信プラットフォームの設定にあわせて、適切な出力解像度を選択しましょう。
フレームレート

フレームレート(fps)は、1秒間に表示される画像の枚数を示す指標で、映像の滑らかさに直接影響します。高いフレームレートは動きの多いシーンで効果的ですが、データ量が増加し、PCや回線への負荷が高まります。
OBSで設定できるフレームレートは、以下のとおりです。
- 10
- 20
- 24 NTSC
- 25 PAL
- 29.97
- 30
- 48
- 50 PAL
- 59.94
- 60
一般的に、高品質のゲーム配信や録画では、60fpsがおすすめです。
OBSでおすすめエンコーダ設定を反映する5STEP
ここまでで紹介したおすすめ設定を反映する手順について、5つのSTEPで解説します。
STEP1|出力モードを変更する
エンコーダを詳細に設定するため、出力モードを以下の手順で「詳細」に変更します。
1.OBSを立ち上げ、「設定」をクリックする

2.「出力」をクリックする

3.出力モードで「詳細」を選択する

以上の手順で、エンコーダを詳細に設定できます。
STEP2|「配信」を設定する
「配信」のおすすめ設定を、以下の手順で反映します。
1.「配信」をクリックして開く

2.「配信設定」を設定する

以下のおすすめ設定を反映します。
- 音声エンコーダ:CoreAudio AAC
- 映像エンコーダ:NVIDIA NVENC H.264
3.「エンコーダ設定」を設定する

以下のおすすめ設定を反映します。
- レート制御:CBR
- ビットレート:6000kbps以上
- キーフレーム間隔:2s
- プリセット:P5:Slow(高品質)
- プロファイル:high
- マルチパスモード:1パス
以上で、配信設定は完了です。
STEP3|「録画」を設定する
「録画」のおすすめ設定を、以下の手順で反映します。
1.「録画」をクリックして開く

2.「録画設定」を設定する

以下のおすすめ設定を反映します。
- 映像エンコーダ:NVIDIA NVENC H.264
- 音声エンコーダ:CoreAudio AAC
録画フォーマットは、互換性のあるMPEG-4がおすすめです。
3.「エンコーダ設定」を設定する

以下のおすすめ設定を反映します。
- レート制御:CQP
- CQPレベル:20
- キーフレーム間隔:0s
- プリセット:P5:Slow(高品質)
- プロファイル:high
- マルチパスモード:2パス(1/4解像度)
以上で、録画設定は完了です。
STEP4|「音声」を設定する
「音声」のおすすめ設定を、以下の手順で反映します。
1.「音声」をクリックして開く

2.ビットレートを設定する

通常192kbps以上を選択し、配信時には配信サイトにあわせて128kbpsを選択します。
以上で、音声設定は完了です。
STEP5|「映像」を設定する
「映像」のおすすめ設定を、以下の手順で反映します。
1.「映像」をクリックして開く

2.「一般」を設定する

以下のおすすめ設定を反映させます。
- 出力(スケーリング)解像度:1920×1080
- FPS:60
以上で、映像設定は完了です。
OBSの自動構成ウィザードを使ってエンコーダ設定する方法
OBSでは、PC環境にあわせて自動でエンコーダを設定する自動構成ウィザードを備えています。ただし、自動構成ウィザードでの設定がベストとは限らないため、参考程度にしておくとよいでしょう。
自動構成ウィザードを使用したエンコード設定手順は、以下のとおりです。
1.OBSを立ち上げ、「ツール>自動構成ウィザード」をクリックする

2.目的を選択し、「次へ」をクリックする

3.解像度とFPSを選択し、「次へ」をタップする

4.配信目的の場合には、配信サイトを選択してアカウントを接続する

5.推奨設定が表示されるため、反映する場合には「設定を適用」をクリックする

以上で、OBSの自動構成ウィザードによるエンコーダ設定は完了です。
【配信サイト別】OBSのエンコーダ設定
OBSを使って配信する際、高品質にしようとビットレートを高く設定する方もいるでしょう。しかし、配信サイトには上限ビットレートが設定されており、上限ビットレートを超えた設定では視聴者に快適な配信を届けられません。
以下の表にまとめた配信サイト別上限ビットレートを参考に、適切にビットレート設定をおこないましょう。
配信サイト | ビットレート上限値 |
---|---|
ツイキャス | 60,000kbps |
YouTube Live | 51,000kbps |
ニコニコ生放送 | 6,000kbps |
Mildom | 6,000kbps |
Twitch | 6,000kbps |
OPENREC.tv | 5,000kbps |
Mirrativ | 1,000kbps |
画質が悪い・乱れるときのOBSエンコーダ設定調整方法
ここまでで紹介したおすすめ設定は、すべてのPCで最善とは限りません。画質が悪い、乱れるといった現象が発生する場合には、以下の設定を調整してみてください。
設定調整項目 | 設定内容 |
---|---|
出力解像度 | 1920×1080を1280×720に変更 |
FPS | 60を30に変更 |
プリセット | P5:Slow(高品質)をP4:Medium(中品質)・P3:Fast(低品質)へ変更 |
自身のPC環境に最適な設定を見つけましょう。
OBSを低スペックPCで利用する際のエンコーダ設定のポイント
低スペックPCでも、PCやエンコーダ設定次第では高品質な配信・録画が可能です。ここでは、低スペックPCを使用する際に気をつけたいPC・エンコーダ設定のポイントについて、以下の表にまとめました。
ポイント | 詳細 |
---|---|
メモリを確保する | タスクマネージャーで不要なプロセスを終了し、OBSの処理用にメモリを確保 |
管理者権限で実行する | 管理者権限で実行し、OBSが優先的にメモリ使用できる状態へ |
解像度やFPSを下げる | 1920×1080・60fpsを、1280×720・30fpsに変更 |
低スペックPCのメモリを確保し、高負荷になりすぎない設定を見極めるのが重要です。
OBSのエンコーダ設定が完了したら、次は?
今回は、OBSのエンコーダ設定について解説しました。適切な設定を行うことで、配信・録画の品質を向上させ、視聴者に快適な映像を届けることができます。
高品質な配信・録画を実現するおすすめ設定について以下にまとめたので、参考にしてください。
設定項目 | 配信時おすすめ設定 | 録画時おすすめ設定 |
---|---|---|
音声エンコーダ | CoreAudio AAC | CoreAudio AAC |
映像エンコーダ | NVIDIA NVENC H.264 ※なければx264 | NVIDIA NVENC H.264 ※なければx264 |
レート制御 | CBR | CQP ※x264選択時はCRF |
ビットレート | 6,000kbps以上 ※配信サイトの上限値まで | 6,000kbps以上 |
キーフレーム間隔 | 2s | 0s |
プリセット | P5:Slow(高品質) | P5:Slow(高品質) |
プロファイル | high | high |
マルチパスモード | 1パス ※x264選択時は設定なし | 2パス(1/4解像度) ※x264選択時は設定なし |
音声ビットレート | 128kbps | 192kbps |
出力解像度 | 1920×1080(1080p) | 1920×1080(1080p) |
フレームレート | 60FPS | 60FPS |
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