OBSの仮想カメラとは?Discord・Zoomでの使い方を解説

OBSの仮想カメラは、アイデアを形にできる便利な機能です。普段の画面共有やオンライン会議を、ひと味違った演出で彩れるのが魅力。背景を変えたり、エフェクトを追加したりと、初心者でも手軽に自分らしい映像を作れます。
この記事では、OBSの仮想カメラを使ってDiscordやZoomで画面を共有する方法から、よくあるトラブルの解決策、高度なカスタマイズ方法まで解説します。
仮想カメラを使いこなしたい方は、ぜひ参考にしてOBSの環境を充実させましょう。
OBSの仮想カメラとは?
OBSの仮想カメラは、オンライン会議や配信の映像をもっと面白く、自由にカスタマイズできる機能です。
通常のWebカメラ映像ではなく、あらかじめOBSで設定したオリジナル映像をそのまま使えるので、背景合成やエフェクトなど、映像を自分好みに編集可能です。
まず仮想カメラの基本から、他のツールとの違いまで解説していきます。
仮想カメラの特徴
OBSの仮想カメラは、作成した映像を「Webカメラの映像」として扱えるのが特徴です。
例えば次のようなことが可能になります。
主な特徴 | 詳細 |
---|---|
自由にカスタマイズした映像を作成可能 | テキストや画像を重ねたり、背景を消したり、個性あふれる画面を作成できます。 |
シーン切り替えでスムーズな演出 | OBSのシーン機能を活用して、事前に複数の画面構成を用意し、ボタンひとつで切り替えられます。 |
初心者でも簡単に始められる | 無料でダウンロードでき、インストール後すぐに使い始められるのもポイントです。 |
OBSの仮想カメラは、ただの映像送信機能ではなく、オンラインコミュニケーションに「個性」や「楽しさ」をプラスできるツールです。
他のソフトとの違い
OBSの仮想カメラは、ManyCamなどの他の仮想カメラソフトと比べ、映像編集の自由度が圧倒的に高いです。その理由と違いを見ていきましょう。
OBS仮想カメラの特徴 | ManyCamの特徴 |
---|---|
OBS自体がオープンソースソフトなので、仮想カメラ機能も無料で利用できます。 | 無料版では機能が制限されており、有料プランが必要です。 |
テキスト、画像、音声、エフェクトを自由に組み合わせ可能。プラグインを追加すれば機能の幅もさらに広がります。 | 複数のWebカメラを同時に使用したい場合に役立つ機能があります。 |
OBS仮想カメラは「無料で高度な映像カスタマイズをしたい」方におすすめ。一方、ManyCamは「複数のWebカメラを同時に操作したい」場面で活躍します。
OBSの仮想カメラを使った画面共有方法
OBSの仮想カメラを使うと、オンライン会議やチャットで、ただの画面共有では表現できないカスタマイズ性豊かな映像を相手に届けられます。
例えば、プレゼン資料の上に解説テキストを重ねたり、背景をクロマキーで変えたりといった演出が簡単です。
本章では、DiscordやZoomでの具体的な設定手順を解説します。
【Discord編】仮想カメラを使った画面共有方法
OBSの仮想カメラ機能を使うと、Discordでプレゼン資料やオーバーレイを加えた映像をそのまま相手に見せられるので、ビジネスや趣味の場で活用する価値大です。
以下の手順で設定を進めましょう。
手順1:OBSで仮想カメラを有効にする

1.OBSを開き、共有したい映像(シーン)を準備
2.画面右下にある「コントロール」パネルで「仮想カメラ開始」をクリック
※仮想カメラが開始されていない場合、Discord側でOBS Virtual Cameraを選べないことがあるので必ずチェックしましょう。
手順2:Discordで仮想カメラを設定する

1.Discordを開き、任意のサーバーに接続
2.画面左下の歯車アイコン「ユーザー設定」をクリック
3.「音声とビデオ」メニューを選択し、「カメラ」のドロップダウンメニューを開く
4.「OBS Virtual Camera」を選択
⇒「選択肢に表示されない」「認識しない」場合は、OBSの仮想カメラが正しく動作しているかチェックしましょう。
手順3:カメラをオンにして完了

続いてはボイスチャンネルに参加し、カメラをオンにしましょう。自分のプレビュー画面では左右反転して見える場合がありますが、相手には正しく映っているので問題ありません。
【Zoom編】仮想カメラを使った画面共有方法
ZoomでOBSの仮想カメラを使えば、オンライン会議でも個性を発揮できます。プレゼン資料や動画の再生を、プロフェッショナルな見せ方で共有することも可能です。
以下の手順で設定しましょう。

1.OBSを開き、画面右下の「コントロール」で「仮想カメラ開始」をクリック
2.Zoomでミーティングを開始
3.画面左下の「ビデオ」横の矢印をクリックし、「OBS Virtual Camera」を選択
※Zoom側でOBSを認識しない場合は「仮想カメラ開始」を再確認しましょう。
OBS仮想カメラのよくあるトラブルと対処法
OBS仮想カメラを活用する際に「仮想カメラが映らない」「外部ソフトで選択できない」など思わぬトラブルでつまずく可能性があります。
しかし、よくある問題は設定の見直しで解決できる場合が多いです。ここでは、OBS仮想カメラのよくあるトラブルと解決方法を解説します。
外部ソフトで仮想カメラを選べない
OBSの仮想カメラがDiscordやZoomで認識しない場合、多くは設定ミスやシステム環境が原因です。以下の対処法を試してみましょう。
対処法 | 詳細 |
---|---|
OBS側で仮想カメラが有効か確認 | OBSを開き、画面右下の「コントロール」パネルで「仮想カメラ開始」をクリック。仮想カメラが停止中では外部ソフトに表示されません。 |
macOSの場合はレガシーカメラサポートを有効化 | macOSではセキュリティの制約により、仮想カメラが利用できないことがあります。「OBSの設定」→「詳細」→「レガシーカメラサポートを有効化」をオンにしましょう。 |
最新バージョンに更新 | OBSの古いバージョンでは仮想カメラが正常に動作しない可能性があります。公式サイトから最新バージョンをインストールしましょう。 |
OBSで仮想カメラが映らない
仮想カメラが開始されているにもかかわらず映らない場合、OBSや外部ソフトの設定を見直す必要があります。以下の対処法を試してみましょう。
- 【Steam版】公式版を再インストールする
- 【zip版】手動でレジストリに登録する
【Steam版】公式版を再インストールする
Steam版OBSを使用している場合、アンインストール時に仮想カメラ機能が削除されてしまうことがあります。
修復するには、公式版OBSを再インストールするか、以下の方法で仮想カメラを復元する必要があります。
1.公式サイトから最新版のOBS Studioをダウンロード
2.公式版のインストール先(通常はC:\Program Files\obs-studio)を開く
3.「data → obs-plugins → win-dshow」内のvirtualcam-install.batを右クリックし、「管理者として実行」を選択
【zip版】手動でレジストリに登録する
OBSをzip版で導入した場合、仮想カメラが正常に動作しないことがあります。インストーラー版と異なり、仮想カメラの必要ファイルが自動登録されないためです。
以下の手順でレジストリを手動登録しましょう。
1.OBSのフォルダを開く
⇒zip版の展開先フォルダを確認しましょう。
2.「virtualcam-install.bat」を実行
⇒「data → obs-plugins → win-dshow」にあるvirtualcam-install.batを右クリックし、「管理者として実行」を選択します。
3.動作確認
⇒OBSを再起動して、仮想カメラが機能するかチェック
レジストリ登録が完了すれば、仮想カメラが正常に動作します。逆にアンインストールしたい場合は、同フォルダ内の「virtualcam-uninstall.bat」を実行しましょう。
OBSが仮想カメラを認識しない
OBSが仮想カメラを認識しない場合、原因は設定ミスや競合ソフトにあるかもしれません。以下の対処法を試してみましょう。
- タスクマネージャーで再起動する
- 出力設定を見直す
- 解像度を見直す
タスクマネージャーで再起動する
OBSが正しくシャットダウンできていない場合、仮想カメラの読み込みが妨げられることがあります。
一般的な再起動では完全に終了しない場合もあるので、以下の手順でタスクマネージャーから再起動しましょう。
1.タスクマネージャーを開く
⇒キーボードのCtrl + Shift + Escを押してタスクマネージャーを起動します。
2.OBSを探す
⇒「プロセス」タブで「OBS Studio」を探し、右クリックして「詳細」を選択しましょう。
3.プロセスツリーを終了
⇒再度右クリックし、「プロセスツリーの終了」を選択。関連プロセスも含め完全に終了します。
4.OBSを管理者として再起動
⇒OBSのショートカットを右クリックし、「管理者として実行」を選んで再起動しましょう。
出力設定を見直す
OBSの出力設定が適切でない場合、仮想カメラが正しく動作しません。以下の手順で設定を調整しましょう。
1.OBSの「設定」をクリック
2.「出力」をクリック
3.「録画フォーマット」をMKVからMP4に変更
4.設定を保存し、OBSを再起動
録画形式が適切に設定されることで、仮想カメラが正常に機能するようになります。
解像度を見直す
解像度やFPS設定が不適切だと、仮想カメラが動作しない場合があります。以下の手順に沿って設定内容を見直しましょう。
1.OBSの「設定」→「ビデオ」にアクセス
2.「基本(キャンバス)解像度」を1,080pや720pに設定
3.FPS設定を30または60に変更
4.設定を保存し、OBSを再起動
以上の調整で、仮想カメラが正しく表示されるようになるはずです。
OBS仮想カメラを使った高度なカスタマイズ方法
OBS仮想カメラの魅力は、映像を自分好みにアレンジできることです。
ただ映像を映すだけでなく、クロマキー合成やオーバーレイ、エフェクトを活用すれば、視聴者にインパクトを与えられます。
本章では、配信者が知っておきたい以下のカスタマイズ方法を解説します。
- クロマキーで背景を合成する
- 配信用のオーバーレイを作成する
- エフェクトやフィルターを活用して印象を変える
クロマキーで背景を合成する
クロマキーを使えば、緑や青の背景を透明にし、映像の後ろに好きな画像や動画を合成できます。以下の順に沿って設定しましょう。
1.緑または青のクロマキー背景を用意し、カメラの後ろに設置
2.OBSで新しいシーンを作成し、カメラ映像を「ソース」として追加
3.ソースを右クリックして「フィルター」を選択
4.「エフェクトフィルター」から「クロマキー」を追加
5.透明化の設定を微調整して完成
配信スタイル別のクロマキーの活用方法は以下のとおりです。
配信スタイル | 活用例 |
---|---|
ゲーム配信 | 背景をゲーム画面にして臨場感をアップ |
雑談配信 | カフェや海など、テーマに合った背景で視聴者を楽しませる |
音楽配信 | ライブ風の背景やエフェクトを加えて、迫力のある映像にする |
クロマキー合成の詳しい設定方法が気になる方は、こちらの記事もチェックしましょう。
OBSでクロマキー合成&グリーンバックなしで背景透過する方法!
配信用のオーバーレイを作成する
オーバーレイは、映像に視覚的な情報を追加する便利な方法です。配信画面をもっと魅力的に見せたい方は、以下の順に沿ってオーバーレイを試してみましょう。
1.背景映像をセットしたシーンを作成
2.「ソース」に「画像」や「テキスト」を追加し、必要に応じて位置を調整
⇒透明なPNG画像を使うとプロっぽい印象になります。
3.配信内容に合わせてカスタマイズ
⇒ゲーム配信ならスコアボードや通知を配置しましょう。
配信スタイル別のオーバーレイの活用方法は以下のとおりです。
配信スタイル | 活用例 |
---|---|
ゲーム配信 | 最新の視聴者名や寄付額を画面上に表示して視聴者との一体感を演出 |
歌配信 | 歌詞やリクエスト曲を表示し、配信を視聴者にとってわかりやすくする |
eスポーツ配信 | プレイヤー情報やチームロゴを追加し、プロフェッショナルな画面を作成 |
オーバーレイの詳しい設定方法が気になる方は、こちらの記事もチェックしましょう。
【初心者向け】OBSのオーバーレイ設定と素材入手&作り方ガイド
エフェクトやフィルターを活用して印象を変える
OBSには映像の雰囲気を変えるエフェクトやフィルターが豊富に用意されています。
その中でも「色補正」は映像全体の印象を調整できるので、プロっぽい配信画面を作りたい方は以下の順に沿って試してみましょう。
1.色味を調整したいシーンやソースを右クリックし、「フィルター」を選択
2.画面左下の「+」をクリックして「色補正」を選択
3.明るさ、コントラスト、色相などを調整して、自分好みの映像に仕上げる
色補正以外のエフェクトが気になる方は、こちらの記事もチェックしましょう。
OBSのエフェクトとは?設定方法やおすすめプラグインも徹底解説
まとめ
OBS仮想カメラの基本的な特徴やDiscord・Zoomでの使い方、トラブル対処法や高度なカスタマイズ方法を解説しました。
仮想カメラを活用する際に意識したいポイントは次のとおりです。
ポイント | 内容 |
---|---|
基本操作 | 仮想カメラを開始し、外部ソフトで「OBS Virtual Camera」を選択するだけで使用可能 |
トラブル解消 | 設定ミスやバージョンの不整合により映像が映らない場合は、再起動や最新バージョンへのアップデートで解決できる |
カスタマイズ | クロマキーやオーバーレイを使うことで、個性的で視聴者を惹きつける配信画面を作成できる |
OBS仮想カメラを使いこなすことで、ただの画面共有から一歩進んだ「見せる」体験を提供できます。自分らしい映像を作り、視聴者や参加者を楽しませる場を演出していきましょう。